「ビッグデータ、ビッグデータと言うけど、うちの会社にデータと言えるようなものなくて……」
このようなことを言われる経営者の方がたまにいます。
確かに、意識しないとデータは蓄積されません。データを集めるために、データベースやストレージなどを準備する必要があります。
でも、最近は意識しなくてもデータが溜まっていることがあります。
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御社のHP(ホームページ)にデータが溜まっていた
よく気づかずにデータが溜まっている代表例が、HP(ホームページ)のデータです。企業によっては、各商材ごとにサービスサイトを立ち上げている企業もあります。
HPやサービスサイトを構築したとき、とりあえずと言うことで、GA(Google Analytics)のタグを埋め込んでくれる、サイト制作会社があります。
GA(Google Analytics)は、Google社がサービス提供している、サイトのアクセスログを蓄積し分析するサービスです。そして、何よりも高機能なのに無料です。だから、「とりあえずGA(Google Analytics)のタグを埋め込んでおきましょう!」となります。
GA(Google Analytics)のタグを埋め込むことで、HPやサービスサイトのアクセスログが、どんどん蓄積されていきます。
で、何が分かるのアクセスログ?
GA(Google Analytics)のタグを埋め込み、HPやサービスサイトのアクセスログが溜めれば、データから色々なことが分かります。
- HPやサービスサイトに、何人訪れたのか?
- HPやサービスサイトを訪れた人は、どのエリア(東京? 大阪? 京都? ……)から来たのか?
- HPやサービスサイトを訪れた人は、どの企業(アクセスログに記録されるIPアドレスから特定)から来たのか?
- HPやサービスサイトを訪れた人は、どのページをたくさん見たのか?
- HPやサービスサイトから問い合わせや資料請求をしたのか?
- HPやサービスサイトを訪れた人は、何回訪れたのか?
などなど
このようなことを、時系列で見ることができます。1日単位で見ることも、時間単位で見ることもできます。
でも、多くの企業では使いこなしていない。持ったないことです。収益拡大に活かす情報がたくさんアクセスログには眠っています。
しかし、このようなHPやサービスサイトのアクセスログすら蓄積していない企業も、少なからずあります。そもそも、GA(Google Analytics)のタグを正しく埋め込めていないために、アクセスログが使えない状態の場合もあります。
アクセスログ以外にも、多くの企業にはデータが多くの場合蓄積されています。その代表例が「顧客との取引データ(受注データ)」です。このデータの無い企業はないでしょう。決算できませんから……
でも、顧客との取引データ(受注データ)はどこの企業にもある
意識するしないに関わらず、必ず蓄積されているデータとして、「顧客との取引データ(受注データ)」があります。
HPやサイトのアクセスログは、GAのタグを埋め込んでおかないと取得できませんが、「顧客との取引データ(受注データ)」は、記録しておかないと、日々のビジネスに差しさわりがあります。
これが無いと、基本財務3表であるBS(貸借対照表)やPL(損益計算書)、CS(キャッシュフロー計算書)が作れません。
なので、データ分析のことはじめで、基本財務3表であるBS(貸借対照表)やPL(損益計算書)、CS(キャッシュフロー計算書)を分析してみるのも、面白いかもしれません。すでに、鉄板の指標があるので、楽に分析できます。
問題は、すぐにビジネスに活かせそうな気がしないところです。基本財務3表は経営の成績表みたいなものですから。
ちょっとした、レコメンドの分析から始めれば取引は拡大する
では、すぐにビジネスに活かすには、どのように顧客との取引データ(受注データ)を分析すればよいのか?
一番簡単なのは、既存顧客に次に勧めるべき商材(商品やサービス)を見つけることです。つまりレコメンドのためのデータ分析です。
イメージとしては、AmazonなどのインターネットのECサイトでよくやる、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」とか、「よく一緒に購入されている商品はこちらです」とかです。
やることは、各既存顧客ごとに、次に勧めると買いそうなレコメンドリストを作って、営業さんに手渡し、営業さんが訪問する際に、会話の流れの中でちょっと紹介してみる、ぐらいのことです。
紙でレコメンドリストを印刷する必要もなく、Excelか何かで一覧表にして配布してもよいでしょう。
このレコメンドのためのデータ分析は、即効性がありますが、商材(商品やサービス)が多い場合に使える手です。
例えば、商材が1つしかない。多くてもせいぜい3つ4つしかない場合ですと、勧めたくても勧める商材がないので使えません。そのようなときは、商材の取引量を増やすためのデータ分析や、取り引きを継続してもらうためのデータ分析が必要になってきます。
商材(商品やサービス)が少ないケースでも、顧客との取引データ(受注データ)である程度のデータ分析はできますが、できれば名刺やCRMなどのデータがあるとよりよいデータ分析ができます。離反分析の場合、訪問履歴や名刺交換履歴が重要になったりします。例えば、通常CRMに訪問履歴を蓄積していきますが、それがない場合にはどうにかする手段はあります。(別の機会にお話しします)
要するに、データが無いと思っても実はデータはあり、取引拡大のためのデータ分析をすれば、それなりに効果があるものですよ、というお話でした。ほぼ確実にあるデータとして、「顧客との取引データ(受注データ)」。気付かずにたんたんと溜まっているデータとして、HPやサービスサイトのアクセスログデータ。
これらを上手く使うことで、収益につながるデータ分析をやれないこともないのです。