第292話|横展開という悪魔

第292話|横展開という悪魔

上手くいったものを横展開すると上手くいく、というのは、時と場合によっては幻想かもしれません。

少なくても、データ活用のケースでは、幻想であることが少なからずあります。

  • ある企業で上手くいったことをやったら上手くいかず……
  • 米国の販社で上手くいったことを日本でやったら上手くいかず…… 
  • 別の事業部で上手くいったことを真似してやったら上手くいかず……

なぜ上手くいかないのでしょうか?

今回は、「横展開という悪魔」というお話しをします。

身近な成功事例をパクる

身近な成功事例をパクると、上手くいきやすいかもしれません。

  • 同じ業界の他者の成功事例を真似る
  • 同じ企業グループの成功事例を真似る
  • 隣の部署の成功事例を真似る

なんとなく上手くいきそうな気配がします。

ただ、データ活用の場合、そうでない場面に幾度となく出くわしました。

データ活用に限った話しではないかもしれません。

友人の勉強法が自分にも使えるのか?

個人レベルで考えてみます。

理系な私が、苦手な現代文の得点を伸ばそうと、文系で現代文の得意な友人のAくんの勉強法を真似したとします。

私の現代文の得点は伸びるでしょうか?

それほど足の早くない私が、50m走のタイムを伸ばそうと、インターハイの100走で決勝に進んだ友人のBくんの練習法を真似したとします。

私の50m走のタイムは伸びるでしょうか?

ほぼ無理です。現状が異なりますし、個人差も大きいことでしょう。

真似するなら、出発点が現在の私のような人で、そして実際に伸びた方法です。

データ活用も同じ

売上アップのためにA事業部の営業部で上手くいったことを、売上アップのために同じ企業のB事業部の営業部でやってみても、上手くいかないことがあります。

例えば、出発点(抱えていた課題など)が異なりますし、事業部差も大きい場合です。

A事業部で新規顧客の開拓に課題を抱えていた、そこであるデータ活用をしたら上手くいき売上アップした、それを既存顧客の離反に課題を抱えていたB事業部で実施してみた。

恐らく、A事業部のような売上アップは、期待できないことでしょう。

売上アップのために解決すべき課題が異なるからです。

では、どうすればいいの?

事業部などで横展開して上手くいくことがあります。

それは、出発点(抱えていた課題など)がほぼ同じで、事業部差が小さい場合です。

少なくとも、出発点(抱えていた課題など)がほぼ同じというのは必須です。

既存顧客の離反に課題を抱えている事業部で、新規顧客の開拓のためのデータ活用をしても、既存顧客の離反という課題は解決されません。

そんなの当然と思うかもしれませんが、意外とこのようなケースは見られます。

要は、その事業部の抱えている「課題」まで把握しないと、横展開が上手くいくかどうかの判断はできません。

個人差も重要

出発点(抱えていた課題など)がほぼ同じであるかどうかは非常に重要ですが、個人差も重要です。

事業部であれば事業部差、国が異なればエリア差、企業が異なれば企業差です。

例えば、ある企業の海外販社で、米国の販社で上手くいったことを、日本の販社で試してみたら全く上手くいかない、何てことはあります。

米国と日本の営業活動や商習慣などの違い、いわゆるエリア差が大きいからです。

個人で考えれば、自分と同じような人同じような課題を抱えていて、そして上手くいったやり方が、非常に良いお手本になる、ということです。

当たり前といえば当たり前ですが、個人から組織へと規模が大きくなると、なぜか忘れがちです。

今回のまとめ

今回は、「横展開という悪魔」というお話しをしました。

上手くいったものを横展開すると上手くいく、というのは、時と場合によっては幻想かもしれません。

少なくても、データ活用のケースでは、幻想であることが少なからずあります。

  • ある企業で上手くいったことをやったら上手くいかず……
  • 米国の販社で上手くいったことを日本でやったら上手くいかず…… 
  • 別の事業部で上手くいったことを真似してやったら上手くいかず……

出発点(抱えていた課題など)が異なっていたり、そして個人差が大きかったりした場合、上手くいきません。

個人で考えれば、自分と同じような人同じような課題を抱えていて、そして上手くいったやり方が、非常に良いお手本になる、ということです。

当たり前といえば当たり前ですが、個人から組織へと規模が大きくなると、なぜか忘れがちです。