「どのようなデータを集めれば、営業力を上げられるの?」
このような質問をちょくちょく受けます。
すでにCRMやMA(マーケティング・オートメーション)などのシステムを導入しているような企業様からも、同じような質問を受けます。
いくらデータを溜めても、「今集めるいるデータでけで十分なのかどうか」の判断がつかないということなのでしょう。
諸悪の根源は、「見える化」という合言葉にあります。
「見える化」という罠
データは溜めればよいというものではありません。溜めたデータが、営業データ分析で使いたいデータでないといけません。
そもそも、営業データ分析で使いたいデータが何か分からないと、判断が付きません。そして、溜めようがありません。
最近、「見える化」という合言葉とともに、CRMやMA、GAなどデータを溜めて見るシステムが導入されています。
営業の受注プロセスを「見える化」するために、CRMを導入する。HPのアクセス状況を「見える化」するためにGA(Google アナリティクス)を導入する。などなどです。
いくら「見える化」できても、「見るべきデータ」が見える化されていないと、あまり意味はありません。正直、そのようなデータを見ても、「ふーん。 なるほど」とか「で?」という感じで、業務に活用されることはないでしょう。
では、どうすればよいのでしょうか?
「動ける化」という視点
「見える化」の次に「動ける化」というものがあります。溜めたデータをもとに、実業務に活用するのが「動ける化」です。
どんなに良質と思われるデータを溜めても、実業務に活かし動けなければ意味はありません。「見える化」すべきは、このようなアクショナブルなデータです。
要するに、必要なのは「見える化」ではなく「動ける化」です。
この「動ける化」を合言葉に、CRMやMA、GAなどのシステム導入を考えると、そのためにやるべきことがハッキリしています。
ハッキリしてくると言っても、お経のとうに「動ける化…… 動ける化…… 動ける化……」と唱えもハッキリしません。
「動ける化」を合言葉にしたときに、先ずやるべきことがあります。
指標を設計しよう!
やるべきことは単純です。「指標」を設計すればよいのです。
指標とは、集めたデータを集約したものです。例えば、売上・利益・顧客数・訪問数・メルマガ配信数・イベント集客数などはすべて指標です。集めたデータを集計・加工などをして作った指標です。
指標は、営業に限らずデータ分析の基本の「き」です。
集めたデータをそのまま見ても、膨大過ぎて頭に入ってきません。その膨大なデータを分かりやすい数字にしたのが指標です。
そして、この指標を見て動ければ、良い指標です。つまり、「動ける化」を実現する指標です。最初に、このような設計すれば良いのです。
例えば、「売上金額」を見ても動けないけど、「受注率」を見れば動けるならば、あなたにとって「受注率」が良い指標です。
意外と、指標は普段の営業やマーケティング業務の中に眠っています。要するに、普段何を見て動いているのかを、棚卸すると、どのような指標を見るべきかが見ててきます。
さらに、「こんなことが分かると良いのになぁ」という日頃思い抱いていることも、指標候補になります。データさえ集めれば分かるのであれば、そのデータが集めるべきデータだからです。
指標から「集めるべきデータ」が見えてくる
指標を設計すれば、その指標を作るためのデータが見えてきます。そのデータが集めるべきデータです。
集めるべきデータは、大きく2つに分かれます。
1. 既に集めているデータ
2. まだ集めていないデータ
さらに、1の「既に集めているデータ」も
1-1. 質の良いデータ
1-2. 質の悪いデータ
2の「まだ集めていないデータ」も
2-1. 集められるデータ
2-2. 集められないデータ
これから集めるべきデータには、2種類あります。
(1)1-2の「質の悪いデータ」の質の良いデータ
(2)2-1の「集められるデータ」
要するに、どのようなデータを集めればデータ分析で営業力を上げられるのかは、指標さえ設計すれば、自ずと見えてきます。
指標設計で失敗すると、あまり意味のないデータを溜めるための、あまり意味のないシステムや顧客アンケートなどを実施することになります。
正直、お金と労力の無駄です。データなんて集めないほうがましです。どうせデータを集めるならば、売上や利益などに貢献するデータが嬉しい。
営業データ分析の良し悪しは「指標」で決まる
営業やマーケティングに限った事ではありませんが、データ分析活用の良し悪しは、どのような指標を見るのか、そして分析するのかで決まります。
つまり、「営業データ分析の良し悪しは『指標』で決まる」と言っても過言ではありません。それぐらい指標設計は重要です。
指標が分かれば、どのようなデータを集めるのかが分かる。指標が分かれば、日々モニタリングする数字が分かる。指標が分かれば、数字からどのようなアクションを起こせば良いのかが分かる。
そして、指標を統計モデルなどで「予測」できれば、未来を見据えたアクションができる。
この未来を見据えた予測は、営業データ分析上最大の魅力でしょう。営業・販売促進活動などのアクションのシミュレーションができるからです。
未来をシミュレーションできれば、人材配置や営業・販売促進活動のコスト配分など、未来に向けた様々な経営活動ができます。
営業人員を2倍にすると、売上が1.5倍になる。チラシを0.8倍に減らしても、売上は変わらない。ネット広告の予算を1.2倍以上にしてもこれ以上効果が出ない。未来が色々と見えてきます。
未来が見えてくると言っても、本当にこのような未来が実現するわけではありません。でも、大きくズレることもありません。
このような未来も、指標が無ければ見ることができません。
要するに、営業データ分析は「指標設計」が上手くいけば、営業データ活用に大きく近づきます。もちろん全体ではありません。
少なくとも、「指標設計」で失敗しているのに営業データ活用で成功することは、ほぼあり得ません。