もし、あなたがビジネスでデータ活用を考えているなら、時系列データを避けることは出来ません。
なぜならば、ビジネス現場は時系列データで溢れているからです。
あまりにも身近すぎて、意識していない人も多いことでしょう。
では、この時系列データとはどのようなもので、ビジネスの現場でどのように活用されているのでしょうか。
今回は、「ビジネス現場は時系列データで溢れている」というお話しをいたします。
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時系列データとは何か?
次のような折れ線グラフを見たことはないでしょうか。
ビジネスの現場でよく見る折れ線グラフです。横軸が時間軸で、縦軸が色々な指標の値の軸(例では「販売金額」)になります。
これは、次の時系列データのデータセットをグラフ化したものです。
この時系列のデータセットには、「時間を表現する変数」(例では「日付」)と「販売金額の値が入った変数」(例では「販売金額」)が1つずつあります。
この例から分かる通り、時系列データは次のような特徴を持ちます。
- 「時間を表現する変数」(以後、「時間変数」と呼ぶ)が少なくとも1つある
- 「時間変数」の時間幅(例:年や四半期、月、週、日、時、分、秒など)が固定されている
- 固定された時間幅で計算した指標の値(例:合計や平均、中央値など)の変数(以後、「指標変数」と呼ぶ)が少なくとも1つある
この例ですと、「日付」が「時間変数」で、「販売金額」が「指標変数」です。「販売金額」の値は、1日という固定された時間幅で、販売金額を合計した値です。
このような時系列データは、ビジネスの現場に溢れています。
- 例えば、営業・マーケティング系であれば、売上高や販売金額、受注件数や販売数量、既存顧客数や見込み顧客数、受注率や離反率、広告・販促関連のデータなどです。
- 例えば、Web系であれば、サイト訪問数やユニークユーザ数、PV(ページビュー)数、コンバージョンレートなどです。
- 例えば、生産系であれば、生産数や歩留まり率、サイクルタイム、各種センサーデータ(検査データや機器のデータなど)、在庫などです。
これらはすべて時系列データです。
この時系列データを記号で表現すると、変数yのt時点の値をy_tと表現します。
時系列データの3つの変動成分
時系列データを、次の4つの変動成分に分解し表現することがあります。ちなみに、分解前の元の時系列データを原系列と呼びます。
- T(趨勢変動成分)
- C(循環変動成分)
- S(季節変動成分)
- I(不規則変動成分)
足し算で表現する「加法モデル」の場合、次のようになります。
原系列=T+C+S+I
掛け算で表現する「乗法モデル」の場合、次のようになります。
原系列=T \times C \times S \times I
乗法モデルも対数変換(log)によって、加法モデルの用に表現できます。
log(原系列)=log(T) + log(C) + log(S) + log(I)
個々の変動成分について簡単に説明します。
T(趨勢変動成分)
T(趨勢変動成分)は、データの長期的な増加または減少を表現する変動成分です。
もっともシンプルな表現方法は直線で定式化する方法ですが、直線である必要はありません。
C(循環変動成分)
C(循環変動成分)は、周期的なパターンを表現する変動成分です。
次に説明するS(季節変動成分)と似た変動成分ですが、S(季節変動成分)が一定の周期を持っているのに対し、こちらの周期は一定である必要はありません。
景気循環などがよい例です。上昇と下降を繰り返すが、上昇している期間が長いときもあれば短いときもある、という感じです。
S(季節変動成分)と異なり、1年以上と長くなります。
S(季節変動成分)
S(季節変動成分)とは、一定の周期パターンを持った変動成分です。
例えば、日周期(24時間周期)、週周期(7日間周期)や年周期(12ヶ月周期)などです。
C(循環変動成分)と比べ、周期が短く長くても1年程度です。
I(不規則変動成分)
I(不規則変動成分)は、T(趨勢変動成分)およびC(循環変動成分)、S(季節変動成分)で表現できなかった残りの変動成分です。
3つの変動成分で構成
多くのビジネスの現場では、C(循環変動成分)を分解できるだけの長期間の時系列データを取得できることは稀です。
そのため、T(趨勢変動成分)とC(循環変動成分)を一緒くたにTC(趨勢循環変動)とまとめ、長期的な上昇または下降の動きをする成分とします。
そのため、原系列は4つの変動成分ではなく、次の3つの変動成分で構成します。
- TC(趨勢循環変動)を「トレンド成分」
- S(季節変動成)を「季節成分」
- I(不規則変動成分)を「残差成分」
原系列=TC+S+I
点過程データと時系列データ
時系列データと混同されやすいデータがあります。点過程(point process)データです。時系列データと密接に関係しています。
点過程データとは、簡単に言うと、事象の発生を「発生した時刻」とともに記録したデータです。
例えば、注文の発生とその時刻、営業訪問とその時刻、解約の申込みとその時刻、バナー広告のクッリクとその時刻、故障の発生とその時刻などです。あるビジネス領域ではこのようなデータを、トランザクションデータといったりします。
点過程データを手にしたとき、ざっくり2つの分析アプローチがあります。
- 点過程データから時系列データを作り、データ分析などを実施する
- 点過程データそのものに対し、データ分析などを実施する
実務的には、前者の「点過程データから時系列データを作り、データ分析などを実施する」ことが多いです。
今、点過程データである「受注履歴データ」が手元にあったとします。この受注履歴データから、週単位や月単位、四半期単位などで受注金額や受注件数、受注単価などを計算することができます。この計算し求めたデータは、時系列データになります。
今回のまとめ
今回は、「ビジネス現場は時系列データで溢れている」というお話しをいたしました。
もし、あなたがビジネスでデータ活用を考えているなら、時系列データを避けることは出来ません。
なぜならば、ビジネス現場は時系列データで溢れているからです。
例えば……
- 営業・マーケティング系であれば、売上高や販売金額、受注件数や販売数量、既存顧客数や見込み顧客数、受注率や離反率、広告・販促関連のデータ
- Web系であれば、サイト訪問数やユニークユーザ数、PV(ページビュー)数、コンバージョンレート
- 生産系であれば、生産数や歩留まり率、サイクルタイム、各種センサーデータ(検査データや機器のデータなど)、在庫
……などです。
これらはすべて時系列データです。
あまりにも身近すぎて、意識していない人も多いことでしょう。