高精度な予測モデルが使えるモデルとは限りません。
「使えるモデル」とは、ビジネスの現場で使い成果をだすモデルです。
ビジネスの現場で予測モデルが使えるかどうかを考えるとき、幾つかの視点があります。
今回は、「高精度な予測モデルが『使えるモデル』とは限らない」というお話しをします。
よくある2つの視点
ビジネスの現場で予測モデルが使えるかどうかを考えるとき、幾つかの視点があります。
例えば、次の2つです。
- スピード
- 予測の外し方
それぞれについて、簡単に説明します。
スピード
「スピード」は、使えるモデルかどうかを検討する上での、大きな視点の1つです。
時間をかけて高精度な予測モデルを作るよりも、それなりの精度の予測モデルをスピーディに構築し活用する方が、ビジネス現場で必要とされるケースが多いからです。
使いたいタイミングで使えないようでは、どんなに高精度でもビジネス成果を生むことはありません。
ある寿司チェーンで、広告効果測定モデルおよび予測モデル、最適化モデルを構築しました。
四半期ごとにモデルを更新(再学習)させていました。
当初の計画では、データが揃ってから2日~3日必要でしたが、利用するマーケターの要望は次の日の朝まででした。
2日後にアウトプットを出しても活用してもらえません。
妥協点を探りながら、ビジネススピードを殺さないよう、どうにかする必要があります。
予測の外し方
「予測の外し方」も、使えるモデルかどうかを検討する上での、大きな視点の1つです。
予測精度が高くても、重要な局面で外すような予測モデルは使いものになりません。
あるコンビニエンスストアで、近くのイベント会場でどのようなイベントが開催されるかで、おにぎりなどの需要を予測し発注をしていました。
イベント開催日以外の日常を上手く予測できるより、イベント時の需要を予測出来たほうが良いでしょう。
この需要の跳ねを上手く予測できれば売上も跳ね上がります。
外すと廃棄を増やすか機会損失が大きくなるか、どちらかになります。
上手く予測したいものです。
さらに、実測値よりも高く予測するのか低く予測するのかで、ビジネス的な意味合いが異なることがあります。
その辺りも考慮する必要があります。
あるコーヒーチェーンで、従業員のシフト管理のために来客数の予測モデルを構築しました。
実際よりも予測値の方が小さく場合、シフトに入れる従業員の人数を少なくしてしまいます。
実際よりも予測値の方が大きい場合、シフトに入れる従業員の人数を多くしてしまいます。
「使えるモデル」を確実に作れるようにはならない
今、「スピード」と「予測の外し方」という視点の典型例をお話ししましたが、他にも色々な視点があります。
では色々な視点で知り多角的に考えればいいのか、となりますがそうではありません。
このような視点をたくさん知り考え尽くしたからといって、「使えるモデル」を確実に作れるようになるわけではありません。
知らないよりもましというぐらいです。
結局のところコミュニケーション
活用する現場の方が「これは使える!」と思ってもらえるかどうかが大きなポイントになります。
机の上で「あーだ、こーだ」と多角的に悶々と考えるよりも重要なことがあります。
しっかり現場の方とコミュニケーションを取った方が手っ取り早いです。
今回のまとめ
今回は、「高精度な予測モデルが『使えるモデル』とは限らない」というお話しをしました。
高精度な予測モデルが使えるモデルとは限りません。
「使えるモデル」とは、ビジネスの現場で使い成果をだすモデルです。
ビジネスの現場で予測モデルが使えるかどうかを考えるとき、幾つかの視点があります。
例えば、次の2つです。
- スピード
- 予測の外し方
このような視点をたくさん知り考え尽くしたからといって、「使えるモデル」を確実に作れるようになるわけではありません。
活用する現場の方が「これは使える!」と思ってもらえるかどうかが大きなポイントになります。
机の上で「あーだ、こーだ」と多角的に悶々と考えるよりも、しっかり現場の方とコミュニケーションを取った方が手っ取り早いです。