「どうなっているの」に応える振り返りのための分析から、1歩先を見通した予測分析(Predictive Analytics)の活用が広がっています。
10年後や100年後を見通す予測ではなく、数時間後、数日後、数か月後と言った近未来を扱います。
このような予測分析(Predictive Analytics)は昔からありますが、ビッグデータやクラウドベースのアナリティクスなどのデータ的・技術的などの発展と伴い、広まっています。
ただ、過去の傾向をデータでひも解く統計学的なアプローチを主体とした振り返り型のデータ分析と、頭の使い方が大きく異なります。
「実施したことや起こったことをデータで振り返り、その振り返りから次のアクションを考え実行する」というのが、統計学的なアプローチを主体とした振り返り型のデータ分析です。
予測分析(Predictive Analytics)は、「事前に予測モデルを構築し、どうなりそうかと予測モデルを活用しながら次のアクションを考え実行する」というものです。
要は、過去を振り返るのではなく、未来を見通しながら考え動くという感じです。
今回は「予測分析(Predictive Analytics)の時代へ」というお話しです。
Contents
予測分析(Predictive Analytics)とは?
予測分析(Predictive Analytics)では、主に機械学習アルゴリズム(数理モデル)を使用し、将来のイベント(例:受注、離反、故障、異常などが起こる)と傾向(例:売上や問い合わせ件数などが上がる・下がる・横ばい)を予測します。
この予測分析(Predictive Analytics)は、近未来を見通しながら活動をしたい企業や組織などに対し、近未来に関する貴重なインサイトを得るのに十分役立ちます。
そのため、予測分析(Predictive Analytics)はデータサイエンス業界の重要なトレンドの1つであり、その重要性は今後ますます高まることでしょう。
ただ、ボトルネックになるのが予測分析(Predictive Analytics)を実現する、予測モデルをいかにつくるか、という問題です。
AutoML(自動機械学習)の登場
予測モデルをいかにつくるか、という問題は、AutoML(自動機械学習)の登場によって緩和しつつあります。
この最近流行りのAutoML(自動機械学習)の多くは、予測分析のための予測モデルを自動生成してくれます。
最低限のデータサイエンスと機械学習の知識とスキルを持ち合わせていれば、十分です。
昔のように、予測モデルを作るのに職人技は、必ずしも必要ありません。もちろん、職人技があれば、よりよい予測モデルは作れることでしょう。
現在は、「予測モデルをいかに作るのか」ということよりも、「予測モデルをいかに活用するのか」という問題の方が大きいです。
予測分析(Predictive Analytics)の利点
予測分析(Predictive Analytics)の主な利点の 1 つは、企業や組織などが、より適切な意思決定を行うのに役立つことです。
予測分析(Predictive Analytics)は、将来の出来事を予測し、それらに対処するための予防措置を講じるのに役立ちます。
さらに、リアルタイム分析を実現するという利点もあります。
データが蓄積した後に時間をかけて分析するのではなく、その瞬間に発生したデータを即座に分析するのがリアルタイム分析です。
モニタリングしている何かが異常かどうかを判断するのに活用されています。
このリアルタイム分析を実施するのに、予測モデルは必須です。
簡単な活用事例のようなものの紹介
需要予測
古典的な使い方の1つは需要予測です。
例えば、製品の需要を予測することで、在庫の最適化などにより、より少ない在庫で在庫切れを回避し機会損失を避けることに役立ちます。
例えば、需要予測から売上予算を達成できそうか、現状の施策でいけそうかどうか、などを知ることができます。
売上予算を達せできそうでなければ、その対策を練ることができるでしょう。
施策シミュレーション
予測モデルを使い施策シミュレーションをする使い方も、従来からあります。
例えば、MMM(マーケティングミックスモデル、メディアミックスモデル)です。
MMMは、メディアのコストパフォーマンス(例:メディアの売上効果、メディアROIなど)を計るのによく利用されますが、今後どうなりそうかという予測にも利用できます。
要は、マーケティング計画を練るときに、どのメディアにより投資をすべきかなどを試行錯誤するときに役立ちます。
チャーンマネジメント
携帯電話業界では、20年近く前からチャーンマネジメント(離反顧客マネジメント)という、離反予測による離反阻止という使われ方がなされていました。
現在も行われていることでしょう(少なくとも、数年前までは離反課やチャーン課みたいな名称の部署を設置しているキャリアもあった)。
チャーンマネジメントで必須になるのが、離反予測です。
離反予測を実施することで、どの顧客が離反しそうなのかというチャーンスコアを算出し、そのスコアに応じて離反対策を実施していきます。
予知保全
チャーンマネジメントは「顧客」を相手にしていますが、それを「機器」を対手にしたのが予知保全です。
予知保全とは、機器の状態を監視することで劣化状態を把握し、機器の部品の交換や修理を行う保全方法です。
そのためには、故障予測モデルが必要になります。
従来の予防保全(カン・コツをもとに部品の交換や修理を行うルールを決め故障を未然に防ぐ)よりもコスパがいいということで、ここ10年製造業の間で広まったものです。
異常検知
リアルタイム分析のよくある事例の1つが、モニタリング対象の異常検知です。
例えば、金融機関がリアルタイムで不正を検出するのに役立ち損失を防ぐために即座に行動を起こすことができます。
他にも、工場で生産している製品の外観検査で異常を検知するのにも役立ちます。
今起こっている異常を検知するため、未来の予測ではないですが、リアルタイム分析を実現するには、予測モデルをあらかじめ作っておかないと対処できません。
不正検知モデルや異常検知モデルといった、予測モデルをリアルタイムに構築し即座に活用することは、時間的に無理です。
今回のまとめ
今回は「予測分析(Predictive Analytics)の時代へ」というお話しをしました。
「どうなっているの」に応える振り返りのための分析から、1歩先を見通した予測分析(Predictive Analytics)の活用が広がっています。
10年後や100年後を見通す予測ではなく、数時間後、数日後、数か月後と言った近未来を扱います。
このような予測分析(Predictive Analytics)は昔からありますが、ビッグデータやクラウドベースのアナリティクスなどのデータ的・技術的などの発展と伴い、広まっています。
予測分析(Predictive Analytics)を実現するときボトルネックになるのが、予測モデルをいかにつくるか、という問題です。
この予測モデルをいかにつくるか、という問題は、AutoML(自動機械学習)の登場によって緩和しつつあります。
現在は、「予測モデルをいかに作るのか」ということよりも、「予測モデルをいかに活用するのか」という問題の方が大きいです。
過去の傾向をデータでひも解く統計学的なアプローチを主体とした振り返り型のデータ分析と、頭の使い方が大きく異なります。
「実施したことや起こったことをデータで振り返り、その振り返りから次のアクションを考え実行する」というのが、統計学的なアプローチを主体とした振り返り型のデータ分析です。
予測分析(Predictive Analytics)は、「事前に予測モデルを構築し、どうなりそうかと予測モデルを活用しながら次のアクションを考え実行する」というものです。
まだ予測モデルを構築しビジネス活用できていない方は、このことを踏まえ、ぜひ近未来的な予測分析(Predictive Analytics)に挑戦してみてはいかがでしょうか。