次のような問いを受けることが、たまにあります。
「データ分析やそのデータの価値って、どのように評価すればいいの?」
データ分析やそのデータは、何かに活用されて初めて価値が生まれます。活用されなければ、ただそこに存在するだけです。
どんなに面白そうでも、どんなに凄そうでも、どんなに希少であっても、活用されなければ価値は0(ゼロ)です。
つまり、データ分析やそのデータの価値は、どのように活用されたのかが分からなければ、その価値を算定することは困難です。
今回は、「データ分析の価値は『データ分析を活用する【現場】』のOutcome(ビジネス成果)によって決まる」というお話しをします。
データ分析・活用の流れ
「データ分析・活用の流れ」を、例えば次のように考えたとします。
- Inputとは、記録されたデータを含めた「分析で使う情報」
- Outputとは、データ分析した「分析結果」そのもの
- Outcomeとは、「データ分析を活用する『現場』」でその分析結果を活用して得られた「ビジネス成果」
多くに人がイメージするデータ分析は、どの部分でしょうか?
恐らく、多くの人がイメージするデータ分析は「Input → Output」の部分でしょう。しかし、その価値は「Input → Output」では分かりません。「Output」の先の「Outcome」で決まります。
データ分析を活用する「現場」
先ほど、Outcomeとは「データ分析を活用する『現場』」でその分析結果を活用して得られた「ビジネス成果」、と述べました。
この「データ分析を活用する『現場』」と聞いて、誰をイメージするでしょうか?
多くの人は、組織の末端をイメージするかもしれません。しかし、このデータ分析を活用する「現場」とは、組織の末端だけではありません。経営層から中間管理層になることも少なくありません。
そして、データ分析は、その各現場に合わせたデータ分析と分析結果が必要になります。
たとえば、データ分析を活用する現場が……
- 「営業の現場」ならば、営業パーソン向けのデータ分析になります
- 「経営の現場」ならば、経営者向けのデータ分析になります
- 「生産の現場」ならば、生産現場の担当者向けのデータ分析になります
データ分析の価値は「データ分析を活用する『現場』」のOutcome(ビジネス成果)によって決まります。同じデータでも、「データ分析を活用する『現場』」が異なればそのOutcome(ビジネス成果)が異なります。
そのデータ分析で、おいくら万円?
私はたまに、データ分析者に次のような質問を投げかけることがあります。
「そのデータ分析で、おいくら万円になりますか?」
データ分析の売値を聞いているわけではありません。
この「おいくら万円」とは、データ分析を本格的に実施することで、どのていど利益アップが見込めるのか、ということを聞いています。
そして現実は、データ分析の本格導入によって、売上アップだけでなく売上ダウンも起こり得ますし、コストダウンだけでなくコストアップも起こり得ます。
そのため、データ分析のビジネス成果を金額換算するとき、次の4つの金額を見積もりましょう。
- 売上アップ
- 売上ダウン
- コストアップ
- コストダウン
ここでよく見落とされるのが、「データ分析を活用する『現場』」のデータ分析を本格導入した場合の工数の変化によるコストの変化です。
カネのにおいのするデータ分析
ビジネスの世界のデータ分析は、「カネのにおい」がするほどインパクトを持ちます。下品な言い方で申し訳ないですが、事実です。
データ分析のビジネス成果を、金額で示せばインパクト大です。そのデータ分析の価値がストレートに伝わります。
先ほど述べたように、データ分析を本格的に活用することで、どの程度の売上アップやコストダウンを達成でき、一方で売上ダウンやコストアップを引き起こしてしまうのかを、見積もればいいでしょう。
この金額換算するということは、単にビジネス成果を分かりやすく表現するというだけではありません。
データ分析者に、大きな意識変化を起こします。この金額換算するという意識が、データ分性者のビジネス成果への意識を飛躍的に高めるからです。
なぜでしょうか。
Outcome(ビジネス成果)を金額換算
先ほど説明した「データ分析・活用の流れ」である「Input → Output → Outcome」の説明をしました。
この中で、金額換算できるのは、どの部分でしょうか。
金額換算できるのは、データ分析のOutput(分析結果)ではなく、その先のOutcome(ビジネス成果)です。つまり、金額換算するためにはOutcome(ビジネス成果)が必要なため、否が応でもOutcome(ビジネス成果)を意識せざるを得ません。
Outcome(ビジネス成果)で金額換算されて、初めて「Input → Output」のデータ分析そのものの価値が評価することができるのです。
そして、同じデータであっても、「データ分析を活用する『現場』」が異なればOutcome(ビジネス成果)は異なります。Outcome(ビジネス成果)が異なれば、金額換算された額も異なります。
今回のまとめ
今回は、「データ分析の価値は『データ分析を活用する【現場】』のOutcome(ビジネス成果)によって決まる」というお話しをしました。
「データ分析・活用の流れ」である「Input → Output → Outcome」を使って説明しました。
- Inputとは、記録されたデータを含めた「分析で使う情報」
- Outputとは、データ分析した「分析結果」そのもの
- Outcomeとは、「データ分析を活用する『現場』」でその分析結果を活用して得られた「ビジネス成果」
このとき現場とは、組織の末端だけではなく、たとえば経営判断する現場であればその現場は経営層になります。
データ分析の価値は「データ分析を活用する『現場』」のOutcome(ビジネス成果)によって決まります。そして、Outcome(ビジネス成果)でその成果を金額換算することができるようになります。
金額換算するということは非常に重要です。
まず、データ分析の価値を金額で示すことは、非常に分かりやすくストレートに価値が伝わります。
それだけではありません。
この金額換算するということは、データ分析者に、大きな意識変化を起こします。この金額換算するという意識が、データ分性者のビジネス成果への意識を飛躍的に高めるからです。
ぜひチャレンジしてみてください。最初はざっくりと皮算用でも構いません。