私が民間企業で、データ分析を始めた約15年ほど前、データ分析そのものに対し、データマイニングブームの影響もあり、「お宝を発見する」かのような錯覚がありました。
多くの場合、実際どのようなことが、データ分析によって発見されるのでしょうか?
多くの場合、「お宝」というより「見落とされていた事実」が発見されます。
つまり、お宝などは滅多に発見されることもなく、データ分析の結果の多くは地味なものです。その地味なことが非常に重要で、データ分析をするメリットであると、私は考えています。
今回は、「データ分析から発見されるのは、『お宝』というより『見落とされていた事実』」というお話しをします。
Contents
データ分析から発見されるのは「見落とされていた事実」
データはあくまでも過去の記録です。未来を記録するものではありません。
「発見される」といっても、単に「見落とされていた事実を発見する」だけです。
仕事に対する意識の高い人や、洞察力の優れている人からすると、データから発見される「見落とされていた事実」は非常に少ないことでしょう。
つまり、多くのデータ分析の結果は、仕事に対する意識の高い人や、洞察力の優れている人からすると、当たり前のことでしょう。
データ分析に興味を持つ人
今では、ビッグデータブームやAIブームの影響もあり、多くの人がデータ分析・活用そのものに対し、関心を寄せてくれます。
しかし、今から10年~15年前、データ分析・活用に関心を寄せる人は、ほんの一部の人たちだけでした。
では当時、データ分析そのものに対し、組織の中で最初に興味を持つ人は、どのような人だったでしょうか?
データ分析そのものに対し、組織の中で最初に興味を持つ人の多くは、仕事に対する意識の高い人や、洞察力の優れている人が、多かった気がします。
残念なデータ分析結果
仕事に対する意識の高い人や、洞察力の優れている人と、データ分析をすると、彼ら・彼女らにとって残念なことが起こります。
データ分析からはデータマイニング的な「お宝」は発見されず、「当たり前のことの再確認」ばかりになってしまうのです。
「お宝」を期待していたのですから、非常に残念な気持ちになったことでしょう。
「当たり前のことの再確認」は、それはそれで非常に重要なことです。
「当たり前のことの再確認」の重要性
例えば、安全保障系のデータ分析は、リスクを低減させることに役立っています。
言い換えると、一発逆転的なデータ分析ではなく、リスクを減らし確実性を増すために役立っている、ということです。
安全保障系に限らず、他のデータ分析も、そのようなものだと思います。
野球で言いうところの、ホームランバッターではなく、アベレージヒッターのイメージです。コツコツ、ヒットを重ね打率を上げていく感じです。
どのようにしてアベレージヒッターを目指すのか
データ分析は、例えば「勘違いを是正する」や「過去の失敗をできるだけ避ける」などということに役立ちます。
「勘違いを是正する」とは、データ分析によって数字などでズバッと示されることで、勘違いを是正するということです。
「過去の失敗をできるだけ避ける」とは、データ分析によって成功確率やコストパフォーマンスを上げていくということです。
つまり、データ分析・活用は、マイナス面を減らすことに非常に役立ちます。
当たり前の事実を共有しよう!
そもそも、仕事に対する意識の高い人や、洞察力の優れている人にとって「当たり前の事実」であっても、他の人にとっては「当たり前の事実」ではないかもしれません。
重要なのは、組織として関係者が共通して「当たり前の事実」として認識しているかどうかです。
データ分析によって数字などで「当たり前の事実」がズバッと示されると、言葉だけよりも分かりやすく伝わりやすいことでしょう。
このように、データ分析でお宝が発見されなくても、データ分析で「当たり前のことの再確認」だけでも十分なメリットがあります。
今回のまとめ
今回は、「データ分析から発見されるのは、『お宝』というより『見落とされていた事実』」というお話しをしました。
データ分析に「お宝発見」を期待する人も多いですが、多くの場合「当たり前の結果」しかでてきません。「当たり前のことの再確認」ばかりです。
それはそれで非常に重要です。
なぜならば、「当たり前のことの再確認」によって「勘違いを是正する」や「過去の失敗をできるだけ避ける」といったことが得られるからです。
データ分析は、リスクを低減させ確実に前進するサポートに大きく役立ちます。
データ分析は縁の下の力持ち的な役割を担い、将来予測やシミュレーションなどを活用し、未来のリスクを低減させることに、大いに役立ちます。