Excel関数を勉強し始めると、絶対参照/相対参照/複合参照の謎のキーワードに出会います。
(「引数」「戻り値」に次いで、離脱要因の上位キーワードではないしょうか)
絶対参照/相対参照/複合参照を理解しても、今度$マークという概念が出てきます。
この$マークの使い方で混乱する方が大勢いる印象を持っています。
Excel関数を使う上で、絶対参照/相対参照/複合参照を理解し、$マークの使いこなすことはとても重要です。
というか、明るい未来はないと言い切ってしまってもいいくらいです。
そこで・・・
- 本記事では、「絶対参照」「相対参照」「複合参照」とは、何かを説明します
- 次回記事で、「絶対参照」「相対参照」「複合参照」はどうやって使うのかを紹介します
絶対参照/相対参照/複合参照とは何か
まずは、体系的な話をしますと・・・
絶対参照/相対参照/複合参照は、「セル参照」の「セル」「セル範囲」で使用します。
「セル参照」は、先日の記事『Excel関数の直接入力とセル参照とは』『Excel関数の引数マスターになろう』を詳しく解説しています。
絶対参照/相対参照/複合参照は、「セル参照」の移動ルールを示したものです。
- セル参照が移動しない ⇒ 絶対参照
- セル参照が移動する ⇒ 相対参照/複合参照
例えば、セル参照が「A1」とすると、
- セル参照は「A1」から移動しない ⇒絶対参照
- セル参照は「A1」からA2 or B1のどちらかに移動する ⇒相対参照/複合参照
となります。
絶対参照は「セル参照は移動しない」という考え方で、とても分かりやすいと思います
では、相対参照と複合参照の違いは何でしょうか。。。
③複合参照は、絶対参照+相対参照の組み合わせになっているイメージです。
相対参照は、行と列のどちらにも移動します。ANDのイメージです。
つまり、相対参照はA1から、A2とB1のどちらにも移動します。
一方、複合参照は、行と列のどちらかに移動します。ORのイメージです。
つまり、複合参照はA1から、A2とB1のどちらかにしか移動しません。
「絶対参照」「相対参照」「複合参照」はとても便利
なぜ、「絶対参照」「相対参照」「複合参照」の3つの参照方法があるかと言うと、
コピーして使う際に便利だからです。
(Excelは、別のセルにコピーすると、「セル参照」が移動する性質を持ちます)
どういうことかを説明します。
なお、$マークが登場しますが、次回記事で詳しく解説しますので、
$記号はセル参照を固定する役割を果たすことを覚えておいてください。
絶対参照
A1に以下の数式が入力されているとします。
=SUM($A$3:$A$5)
絶対参照のため、この数式をD99セルにコピーしても、「セル参照」は移動されません。
セル参照は$A$3*$A$5に固定されたままです。
したがって、A1をコピーしたD99も、数式は変わりません。
=SUM($A$3:$A$5)
相対参照
A1に以下の数式が入力されているとします。
=SUM(A3:A5)
相対参照のため、この数式をD99セルにコピーすると、「セル参照」は行列のどちらにも移動します。
セル参照がD101:D103に移動され、数式は以下になっています。
=SUM(D101:D103)
複合参照
A1に以下の数式が入力されているとします。
=SUM(A$3:A$5)
複合参照のため、この数式をD99セルにコピーすると、「セル参照」は行列のどちらかに移動します。
本例では、$マークの指定によって行が固定されているため、列方向のみ移動します。
したがって、
セル参照がD$3:$D$5に移動され、数式は以下になっています。
=SUM(D$3:$D$5)
なお、行方向のみ移動したい場合は、次のように入力します。
($マークの記述の謎は、次回記事で解説します)
=SUM($A3:$A5)
最後に
本記事では、「絶対参照」「相対参照」「複合参照」とは、何かを説明してきました。
- 絶対参照/相対参照/複合参照は、「セル参照」の際に使用する
- 絶対参照/相対参照/複合参照は、「セル参照」の移動ルールを示したもの
- セル参照は変わらない ⇒ 絶対参照
- セル参照は変わる ⇒ 相対参照/複合参照
- 相対参照はどちらにも、複合参照はどちらかに移動
- 複合参照は、絶対参照+相対参照の組み合わせのイメージ
- セル参照は変わらない ⇒ 絶対参照
本記事では、「絶対参照」「相対参照」「複合参照」とは何かまで理解できたらOKです。
次回記事で、「絶対参照」「相対参照」「複合参照」はどうやって使うのかを紹介します。
つまり、$マークの謎に関してです。