データ分析・活用といったとき、大きく2つの「型」があるのではないかと思います。
1つが「問題解決型データ分析」、もう1つが「運用型データ分析」。
それ以外にもあるかもしれませんが、大きくはこの2つの分類できると思います。
どちらが優れているとか、どちらかが無いからダメとか、そういうのはありません。しかし、どちらを実施しているのかを、把握しておくことは重要だと思います。
今回は、「問題解決型データ分析と運用型データ分析」というお話しです。
データ分析とは?
そもそもデータ分析とは何でしょうか?
人によって定義やイメージが異なるかもしれません。簡単に言えば「データを分析すること」になります。
しかし、データを分析しただけでは意味はありません。ただ分析しただけでは何も得られませんし、面白い何かも起こらないことでしょう。
多くの場合、目的をもって分析をします。
「うちは、目的無き分析をしてしまっている」という企業様でさえ、よくよく聞いてみると目的があったりあします。
明確であるとか、具体的であるとか、そういうことを脇に置けば、何かしら目的があります。
例えば、「新たな知見を発掘する」「売上をあげる」「生産性をあげる」「コストをさげる」「残業時間を減らす」「歩留まりを改善する」「サイクルタイムを短縮する」「品質をあげる」「何かしらデータを活用する」などなど。
何はともあれ、目的に沿った形のアウトプットが求められます。
つまり、データを分析した後に、目的に叶ったアウトプットへの「知恵の統合」が必要になります。
知恵の統合とは、データを分析することで得られた個々の知見だけではなく、データ以外の情報などを融合することです。
要するに、データ分析とは、目的を達成するために、データを分析し知恵を統合することです。
問題解決型データ分析
データ分析・活用には、「問題解決型データ分析」と「運用型データ分析」の2種類あるという話しをしました。
「問題解決型データ分析」とは、従来の問題解決アプローチの中に、積極的にデータを絡めていくものです。
そうすることで、できるだけ数字で問題解決を進めていくことになります。
例えば、感覚や直観的なモノを、できるだけ数字で置き換えることで、より客観性を増すことになります。
しかし、現実はそう簡単でもありません。世の中のすべてがデータ化されているわけではないからです。
現実は、主観×客観の融合になります。データ分析の結果をありのままに見る観察力と、データ以外の部分を分析結果に組み込む洞察力が必要になります。
つまり、「人」が重要なファクターになります。人次第のといっても過言ではありません。
少なくとも、今現在のAI(人工知能)には無理でしょう。なぜならば、データ化されていない世界を組み込むことができませんし、仮にデータ化されていても、まったく場違いな情報を組み合わせることが、現在のAIでは難しいからです。
運用型データ分析
「運用型データ分析」では、日々の業務活動の中に、ルーティンに近い形で、データを活用し業務をより良いものにします。
人の手がある程度離れたデータ分析・活用(自動化・機械化・AI化・テンプレート化など)で、最近ではAd-TechやHR-Techなど、〇〇Techと言われているようです。
例えば、定期的に同じ質問項目で市場調査をしていたとします。毎回、同じオペレーションで調査設計から回答者のリクルーティング、実査、アンケート回収、集計、レポーティングと進んでいれば、かなりの部分が自動化されます。
例えば、インターネット広告などで、いくつかのクリエイティブを準備し、クリックされる割合の良いものを自動的に露出を高めることもできます。
運用型データ分析は、インターネットの世界を中心に進んでいる印象があります。しかし、実際はそうでもありません。
例えば、FA(ファクトリーオートメーション)という言葉が示す通り生産現場では、昔から当たり前のように実現していました。
FAとは、簡単にいうと人的作業をロボットなどを活用して無人化することです。大量のデータが発生し、そのデータをもとに制御をします。
生産現場のようなブルーカラーの業務では、生産性を向上をさせるために積極的にデータ分析・活用がさなれています。運用型データ分析の典型だと思います。
従来から問題になっているのは、ホワイトカラーの業務のためのデータ分析・活用です。
ホワイトカラーというキーワードで考えたとき、インターネットの世界を中心に進んでいる印象があります。
最近では、営業活用のためのCRM/SFA(顧客関係管理システムなど)などホワイトカラーのための運用型データ分の土壌が整備しつつあります。
運用型データ分析の前と後に、問題解決型データ分析がある
「問題解決型データ分析」と「運用型データ分析」は、まったく別物で独立しているか? というとそうでもありません。
この2つは密接に絡まり合っています。
端的に言うと、「問題解決型データ分析」は単体で実現可能です。一方、「運用型データ分析」は単体では実現可能ではありません。
「問題解決型データ分析」は「運用型データ分析」を必要としないが、「運用型データ分析」は「問題解決型データ分析」を必要とします。
「問題解決型データ分析」は、問題を発見し、課題を定義し、対策案を考え実行し、その実行結果を評価すれば終了します。このとき、「実行」のところで、データ分析・活用をするのなら、それは「運用型データ分析」になります。
「運用型データ分析」は、日々の業務の中でデータを活用しより良くしなければなりません。
日々の業務のどこで、どのようなデータを集め加工し、どのようなアルゴリズムを走らせるのかを、「運用型データ分析」を実施する前に考えなければなりません。それを、考えるのが「問題解決型データ分析」です。
そして、「運用型データ分析」の良し悪しを定期的に評価し、次のより良い「運用型データ分析」に進化させる必要もでてきます。
その評価分析をするのは「問題解決型データ分析」です。
今回のまとめ
今回は、「問題解決型データ分析と運用型データ分析」というお話しをしました。
厳密にこの2つに分かれるわけではないかもしれませんが、少なくとも私は、多くの場合この2つに分けられると思っています。
「問題解決型データ分析」とは、従来の問題解決アプローチの中に、積極的にデータを絡めていくものです。感覚や直観的なモノを、できるだけ数字で置き換えることで、より客観性を増すことになります。
世の中のすべてがデータ化されているわけではないため、現実は、主観×客観の融合になります。データ分析の結果をありのままに見る観察力と、データ以外の部分を分析結果に組み込む洞察力が必要になります。
「運用型データ分析」では、日々の業務活動の中に、ルーティンに近い形で、データを活用し業務をより良いものにします。
そのため、自動化・機械化・AI化・テンプレート化などが積極的になされます。
この2つのデータ分析・活用である「問題解決型データ分析」と「運用型データ分析」は、全くの別物で独立して存在するわけではなく、この2つは密接に絡まり合っています。
運用型データ分析の前と後に、問題解決型データ分析があるからです。
どのような運用型データ分析をするのかを考えるために、問題解決型データ分析が必要になります。運用型データ分析をした結果どうだったのかを評価するために、問題解決型データ分析が必要になります。
重要なことは、データ分析・活用といったとき、どちらのことを意味して議論しているのか、もしくは実施しているのかを、把握しておくことです。話がかみ合わなくなり、データ分析・活用の足を引っ張ることになるからです。