データサイエンスに対し、どのような印象があるでしょうか?
「データサイエンス」の字面からだと、「データ」と「サイエンス」ということで、データを科学しているかのような印象があるのではないでしょうか。
大学などのアカデミアの世界では、それで問題ないかもしれません。
しかし、ビジネスの世界ではちょっと異なってきます。異なるというか、応用の側面が強くなります。
応用の側面が強くなったとき、データサイエンス上欠かせないものがあります。
「ドメイン」です。
もちろん、ビジネス以外のデータサイエンスでも、ドメインは非常に重要です。
今回は、「『ドメイン』は、データサイエンスを成功理に収めるために欠かせない」というお話しをします。
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ビジネスにおけるデータサイエンス
そもそも、ビジネスにおけるデータサイエンスとは何でしょうか?
端的に申し上げますと、ビジネスの世界では「データとドメインを結びつける」のがデータサイエンスになります。
色々な定義や考え方があるとは思いますが、大きくは異ならないかと思います。
ここで「ドメイン」というワードがでてきます。
データサイエンスにおける「ドメイン」とは、データを活用する領域のことです。
例えば、営業活動やマーケティング活動、調達管理、在庫管理、生産活動などです。製造業の営業活動と、サービス業の営業活動が大きく異なれば、それぞれが別のドメインとなります。
紛らわしい「ドメイン」というワード
ドメインと言う用語は、データサイエンス以外でも使用されています。
使われる業界や分野が異なれば、その意味も異なります。
例えば……。
- インターネットの世界では、ネットワークにおいて個々のコンピュータを識別する名称を意味します
- 生物学の世界では、分類の最高位にドメインというものがあります
- 数学の世界では、関数の定義域をドメインと言います
- 経営学の世界では、事業領域のことをドメインと言います
探せば、色々な業界や分野で、別の意味として使われていることでしょう。
では、データサイエンスのドメインに近いのは、どのドメインでしょうか。
経営学とデータサイエンスのドメイン
データサイエンスのドメインは、経営学のドメインにやや近い気がします。しかし、経営学のドメインでは大雑把な気がしますし、ニュアンスもどこか異なります。
以下は、経営学のドメイン(事業領域)の例です。
- IT事業
- 電子部品事業
- 検査機事業
- 自動車部品事業
- 物流事業
- 教育事業
- 介護事業
- ヘルスケア事業
経営学のドメインをデータサイエンスのドメインとする不幸
データサイエンスをやり始めの企業多いのが、この事業領域レベルのドメインで、データ分析・活用を考えるケースです。
データ分析・活用の対象が広すぎます。
広すぎるため、何ができそうか、何をすればいいのかが思い浮かびません。
例えば、電子部品事業。
「電子部品事業でデータサイエンスをしろ!」
……と言われ、何をすれはいいのか思い浮かぶ人は、あまり多くないでしょう。
思い浮かんでも、人によってバラバラでしょう。
例えば……
- 電子部品を生産するための原材料や部品などの「調達」を思い浮かべる人
- 電子部品の「歩留まり改善」(良品率の向上)を思い浮かぶ人
- 電子部品の「営業活動」を思い浮かべる人
- 電子部品の「在庫管理」を思い浮かぶ人
要するに、事業領域という意味での「ドメイン」は、データサイエンスのドメインとするには広すぎ、具体性に欠くのです。
このあたりのドメインを混同すると不幸が訪れます。曖昧模糊で誰も動けないからです。
データサイエンスのドメイン例
経営学のドメインを、もう少し内容を具体化・詳細化すると、データサイエンスのドメインに近づくでしょう。
例えば、電子部品事業とするのではなく、もう少し内容を具体化・詳細化し……
- 電子部品の部品Aの生産工程における良品率向上のための歩留まり改善活動
- 年間取引金額が大きく、かつ取引年数の長い上客の離脱阻止のためのマーケティング・営業活動
- 国をまたいだ拠点間の輸送コストの削減のための輸送管理業務
- 新規顧客獲得の営業活動を効率化するためのマーケティング・営業活動
かなり具体化されているのではないかと思います。
少なくとも、誰のどのようなお仕事に対するデータ分析・活用なのかは見えてくるのではないかと思います。
今回のまとめ
今回は、「『ドメイン』は、データサイエンスを成功理に収めるために欠かせない」というお話しをしました。
ビジネスにおけるデータサイエンスとは、「データとドメインを結びつける」ことです。
データサイエンスと聞くと、どうしてもデータに注目が集まりますが、ドメインも非常に重要です。データサイエンスにおける「ドメイン」とは、データを活用する領域のことです。
紛らわしいことに、色々な業界や分野でドメインと言うワードが使われています。
データサイエンスのドメインと近しいのが、経営学のドメイン(事業領域)です。しかし、この2つのドメインは異なります。データサイエンスのドメインに比べると、経営学のドメインはやや大雑把な感じがします。
不幸なことに、経営学のドメインをデータサイエンスのドメインとしてデータ分析・活用を進めてしまい、上手くいかないケースが多々あります。
例えば……
「電子部品事業でデータサイエンスをしろ!」
……ではなく、
「部品Aの生産工程における歩留まり改善のためのデータサイエンスをしろ!」
……でないと、データ分析・活用はドライブしません。
「電子部品事業」が経営学のドメインで、「部品Aの生産工程における歩留まり改善」がデータサイエンスのドメインです。
データ分析・活用を進めるとき、適時ドメインが問題ないかをチェックするといいでしょう。最初は、ドメイン探しの旅や明確化から始まると思います。