第126話|データサイエンスは小さく始め大きく波及させろ!その5つのポイントとは

第126話|データサイエンスは小さく始め大きく波及させろ!その5つのポイントとは
  • データサイエンスだ! 機械学習だ! AIだ!
  • さぁ、デジタルトランスフォーメーションだ!!
  • Society5.0時代のメガプラットフォーマーになるぞ!!!

夢を大きく持つことはいいことですが、足下無視で進めることはできません。

足下無視の結果、体力のある企業がすることの多くが、IT投資と人財育成や登用です。モノとヒトでどうにかなるかと言えば、実はどうにもならない。

適切なテーマ設定とアプローチが非常に重要になってきます。

どのテーマが花開くのか分からないので、それを見越したアプローチが必要になります。

今回は、「データサイエンスは小さく始め大きく波及させろ!その5つのポイントとは」というお話しをします。

小さくはじめ大きく波及させるということ

データサイエンスを実践する上で、上手くいきやすいのは、できるだけコンパクトに始めることです。

例えば、自部署+関連部署が1つ2つだけ、といったコンパクトさです。

小さく始める幾つかのメリットがあります。

  • 軌道修正が簡単
  • 失敗の影響も小さい
  • 何度でもチャレンジできる

小さくても実績は実績

そして、関わった人に自信と実績を、早い段階で与えてくれます。

何よりも、小さくても実績は実績です。

社内政治力のある人が、エライ人や関連部署などの理解や協力を得るのに、この実績が使え、大きく波及する手助けになります。

3つの軸

小さく始めるとき、大きく以下の3つの軸で考え、波及させるといいでしょう。

  • 軸1(テーマの大きさ):テーマ設定を小さくする(例:ある限定されたテーマ)
  • 軸2(影響範囲):影響範囲を小さくする(例:数人レベル)
  • 軸3(データサイエンス力):簡単なデータサイエンス技術だけで始める(例:昔からある簡単な分析手法)

最初からホームランを狙うのもよくありません。

狙ってもいいですが、成功確率は低くなりますし、大きな成果を生むかどうかは、やっていなくては分かりません。

野球で例えるなら、ホームランを打つパワーヒッターではなく、こつこつヒットを打つアベレージヒッターのイメージです。

こつこつヒットを打っていれば、そのうちいくつかはホームランになります。

小さく始めたデータサイエンスのテーマのポテンシャルが見えてきます。小さく始め、大きく波及させるテーマの取捨選択することが可能となります。

5つポイント

小さくはじめるときのポイントを紹介します。迷ったときに、以下の5つの視点で考えてみてください。

  • ポイント1:汎用よりも限定
  • ポイント2:変革よりも改善
  • ポイント3:高尚よりも経験
  • ポイント4:予測よりも解釈
  • ポイント5:発見よりも確認

ポイント1:汎用よりも限定

ポイント1の「汎用よりも限定」とは、テーマ設定を小さくしたり(例:ある限定されたテーマ)、影響範囲を小さくしたり(例:数人レベル)と、汎用性が低く用途が限られているデータサイエンスにチャレンジする、ということです。このとき、汎用性が高まる(大きく波及できる)ことを念頭に置きます。

ポイント2:変革よりも改善

ポイント2の「変革よりも改善」とは、テーマ設定をするとき、現状否定から始まる変革よりも、現状肯定による改善のほうを選ぶ、ということです。人が関与するテーマほど、改善の道を選びます。理由は、人の理解が得られやすく、ポイントが絞られ、成果が出やすいからです。改善で成果を出した後、この成果を変革の旗印にすれば十分です。

ポイント3:高尚よりも経験

ポイント3の「高尚よりも経験」とは、最新の分析手法や難解な数理モデルなどを無理して使うよりも、簡単にすぐ成果のでやすいデータサイエンスに取り組み、経験を積みましょう、ということです。成果が大きく簡単なテーマを差し置いて、不思議なぐらい「成果が大きいけど難しいテーマ」に取り組む人が多い印象があります。

ポイント4:予測よりも解釈

ポイント4の「予測よりも解釈」とは、予測モデルを構築し未来を語らせる前に、現状をしっかり押さえるデータ分析をしましょう。現状をしっかり押さえるデータ分析とは、過去から現在までの傾向をデータで解釈しましょう、ということです。未来予測に比べ、現状解釈の方がはるかに簡単ですし、今まで何となく感じていたことをデータで裏付けする部分が大きく、理解を得られやすいです。

ポイント5:発見よりも確認

ポイント5の「発見よりも確認」は、現状解釈のためのデータ分析をするときに、思描けない発見よりも、知っていることを確認するためのデータ分析をしましょう、ということです。社内の「何となくこうだろう」をデータで裏付け、数字でズバッと示していくイメージです。例えば、「営業の訪問回数が多いほど受注率が高まる」という現場の「何となくこうだろう」に対しデータを使いその傾向をグラフ化し、さらに最適な訪問回数は8回だ、ということを示すという感じです。

今回のまとめ

今回は、「データサイエンスは小さく始め大きく波及させろ!その5つのポイントとは」というお話しをしました。

夢のようなデータサイエンスをいきなり目指すのではなく、ある限定した範囲で過去の傾向を確認するぐらいのデータ分析レベルで、最初は十分成果がでます。

小さく始めるとき、大きく以下の3つの軸で考え、波及させるといいでしょう。

  • 軸1(テーマの大きさ):テーマ設定を小さくする(例:ある限定されたテーマ)
  • 軸2(影響範囲):影響範囲を小さくする(例:数人レベル)
  • 軸3(データサイエンス力):簡単なデータサイエンス技術だけで始める(例:昔からある簡単な分析手法)

小さくはじめるときのポイントを紹介します。迷ったときに、以下の5つの視点で考えてみてください。

  • ポイント1:汎用よりも限定
  • ポイント2:変革よりも改善
  • ポイント3:高尚よりも経験
  • ポイント4:予測よりも解釈
  • ポイント5:発見よりも確認

小さな成果でも、塵も積もれば山となるということで、組織全体でみるとそれなりの成果になります。まさに、二宮尊徳の積小為大です。

繰り返しになりますが、最初からホームランを狙うのではなく、こつこつヒットを打つアベレージヒッターの戦略です。こつこつヒットを打っていれば、そのうちいくつかはホームランになります。