データによる継続的改善を実現するには、どのような仕組みを作ればいいのでしょうか。
このような話しをすると、クラウドなどのアーキテクチャー(システムの設計思想)を思い浮かべる方もいますが、ここでお話しするのはもっとシンプルなものです。
今回は、「継続性を持たせる『データドリブン化』の仕組み」というお話しをします。
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「机上」と「現場」の2層構造
次のような「机上」と「現場」の2層構造のサイクルを仕組み化し機能させることで、データドリブンな状態を作ることができることでしょう。
「机上」とは、多くの人がイメージするデータ分析やデータサイエンス、機械学習などを実施する部分です。蓄積したデータに対し、データ分析を実施したり数理モデルを構築したりし、何かしらアウトプットを出す部分です。
多くの人は、机の上のコンピュータを使うため「机上」と表現しています。もちろん、机上の空論の意味での「机上」でもあります。要は、実際の現場ではないという意味です。
「机上」の層の下に「現場」の層があります。
この「現場」とは、データ活用する現場です。例えば、経営の現場、営業の現場、マーケティングの現場、生産の現場、経営企画の現場などです。データサイエンス用語で表現すると「ドメイン」と言われます。
営業例
某IT系企業で実施している、新規顧客の開拓におけるデータドリブンなデータ分析・活用(データサイエンス実践)です。タイミング良く施策を実施し、効率的な新規顧客増を目指しています。
「机上」(アナリティクス業務)では、受注履歴やCRM(顧客関係管理システム)、MA(マーケティング・オートメーション・ツール)などのデータに対し、データ分析をしたり数理モデル構築をしたりするなどをし、分析結果や予測結果など現場で実施する営業活動アイデア(アクション案など)を導き出します。
「現場」(データ分析・活用(データサイエンス実践)を実践する現場)では、「机上」で導き出された分析結果や予測結果など現場で実施する施策アイデア(アクション案など)をもとに、各営業パーソンが抱えているリード(見込み顧客)に対し、実施する施策(アクション)を検討し実行します。その結果、リード(見込み顧客)から何かしらの反応を得られます。
そこで、実施した施策とその結果がデータとして得られます。その「現場」(データ分析・活用(データサイエンス実践)を実施する現場)で発生したデータを蓄積します。
新たに得られたデータも使い、「机上」(アナリティクス業務)でさらなるデータ分析をしたり数理モデル構築をしたりするなどをし、分析結果や予測結果など現場で実施する施策アイデア(アクション案など)を導き出します。
このような流れが、延々と続きます。
店舗例
某小売りチェーンの販売促進におけるデータドリブンなデータ分析・活用(データサイエンス実践)です。広告や新聞の折込チラシ、タイムセールなど色々な施策を織り交ぜながら、来店者数を増やしつつ売上増を、目指しています。
「机上」(アナリティクス業務)では、POSデータや販促施策データ(広告や販促に関するデータ)などに対し、データ分析をしたり数理モデル構築をしたりするなどをし、分析結果や予測結果など現場で実施する施策アイデア(アクション案など)を導き出します。
「現場」(データ分析・活用(データサイエンス実践)を実践する現場)では、「机上」で導き出された分析結果や予測結果など現場で実施する施策アイデア(アクション案など)をもとに、広告宣伝部と販売促進部、各店舗の店長などが連携しながら実施する施策(アクション)を検討し実行します。その結果、店舗のある周辺住民から何かしらの反応を得られます。
そこで、実施した施策とその結果がデータとして得られます。その「現場」(データ分析・活用(データサイエンス実践)を実施する現場)で発生したデータを蓄積します。
新たに得られたデータも使い、「机上」(アナリティクス業務)でさらなるデータ分析をしたり数理モデル構築をしたりするなどをし、分析結果や予測結果など現場で実施する施策アイデア(アクション案など)を導き出します。
このような流れが、延々と続きます。
工場例
某企業の工場の改善活動におけるデータドリブンなデータ分析・活用(データサイエンス実践)です。営業や販促活動だけでなく、生産系のデータ分析・活用(データサイエンス実践)でも同様の考え方で、データドリブンな状態を作れます。
「机上」(アナリティクス業務)では、作業データ(機器などの設定データを含む)や生産データ(センサー系のデータ含む)などに対し、データ分析をしたり数理モデル構築をしたりするなどをし、分析結果や予測結果など現場で実施する施策アイデア(アクション案など)を導き出します。
「現場」(データ分析・活用(データサイエンス実践)を実践する現場)では、「机上」で導き出された分析結果や予測結果など現場で実施する改善アイデア(アクション案など)をもとに、生産管理や工員などが抱えている歩留まり(良品の割合など)やサイクルタイムに関する課題に対し、実施する改善活動(アクション)を検討し実行します。その結果、歩留まり(良品の割合など)やサイクルタイムなどに変化は生まれます。
そこで、実施した施策とその結果がデータとして得られます。その「現場」(データ分析・活用(データサイエンス実践)を実施する現場)で発生したデータを蓄積します。
新たに得られたデータも使い、「机上」(アナリティクス業務)でさらなるデータ分析をしたり数理モデル構築をしたりするなどをし、分析結果や予測結果など現場で実施する改善アイデア(アクション案など)を導き出します。
このような流れが、延々と続きます。
今回のまとめ
今回は、「継続性を持たせる『データドリブン化』の仕組み」というお話しをしました。
「机上」と「現場」の2層構造のサイクルを仕組み化し機能させることで、データドリブンな状態を作ることができることでしょう。
「机上」で、蓄積したデータに対しデータ分析を実施したり数理モデルを構築したりし、何かしらアウトプットを出していきます。
「机上」の層の下ある「現場」の層は、データ分析・活用(データサイエンス実践)を実施する現場で、データサイエンス用語で表現すると「ドメイン」と言われます。