前回は、STEP2の「集める」のその5の「データは対で集める」についてお話ししました。
データを集めたら、次にデータを分析しなければなりません。
集めたデータと分析の関係は、食材と料理の関係に似ています。
良い食材であっても料理人の腕に問題があると台無しになることがあります。不十分な食材でも調理しだいで美味しくなることもあります。
つまり、分析品質が悪いと集めたデータが素晴らしくても台無しにしてしまうことがあります。一方、分析のやり方によっては、集めたデータが多少粗悪でも、分析品質が高いと挽回できます。
データ分析手法の世界は流れが速いです。新しいデータ分析手法は次から次へと出てきます。
しかし、意外と昔からあるデータ分析手法で十分なことも多いです。新しい手法に惑わされず、昔からある基本的な分析手法をしっかり押さえておくことが、分析品質の要です。基本的な分析手法をまずはしっかり押さえましょう。
データの分析の考え方と最も基本的な手法について、全15回にわたってお話しいたします。
- その1 定量分析と定性分析 ⇒ 今回
- その2 分析の基本は比較
- その3 古くて新しいQC7つ道具 ※5回に分けてお話し
- その4 古くて新しい新QC7つ道具 ※5回に分けてお話し
- その5 要因分析と統計的因果推論 ※3回に分けてお話し
今回は、その1の「定量分析と定性分析」というお話しをします。
必ず定性分析が必要になる
数値データに対しては定量分析。数値でないデータに対しては定性分析。
分析の流れの中で非常に重要なことがあります。
それは、仮に「すべてのデータが数値データであっても必ず定性分析が必要になる」ということです。
どういうことかというと、分析の内容がアクションに近づくほど定性分析の重要性が増すからです。
逆に、定性分析無くしてデータ分析の結果をアクションに繋げることは困難です。
定性分析なくしてアクションは起こせない
POSデータ(売上データ)を分析しただけで、具体的なアクションを見出すことは困難なことでしょう。
見出したとしても、データ分析以外の個人のバックグラウンドや経験、センスなどが大きく影響することでしょう。
なぜ、定性分析なくしてアクションを見出すのが難いのでしょうか?
それは単純に定量分析しかしておらず、定性分析を省いているからです。
定量分析の結果は定性データ
どう言うことかというと、定量分析であってもその結果は定性データだからです。
例えば、今ここにPOSデータ(定量データ)があったとします。
このPOSデータから商品別の売上データと購入者の年代データが分かります。分析した結果、40代男性にAという商品が非常に売れていることが分かりました。
この定量分析の結果で出てきたのは「40代男性に商品Aが売れている」という定性データ(厳密には、定性的なテキストデータ)です。
これだけでは、どのようなアクションすればいいのかを見出すことはできません。単に、「40代男性に商品Aが売れている」という事実が分かっただけです。
そのため、「40代男性に商品Aが売れている」という定量分析の結果をもとに、どのようなアクションを起こせばいいのかを見出す必要があります。
定量分析の結果とアクションの間には、定性分析が必要になるのです。定量分析でも定性分析でもアクションに近くなると定性データとなります。
色々な定性分析
定性分析の中にも……
- アクション案(解決策)を出すための定性分析
- アクション案の優先順位を決める定性分析
- アクション案のプランを策定する定性分析
……など色々あります。
つまり、定性分析の結果、現実的で実行可能なアクションプランが導き出されるのです。
そう考えると、定性分析が無いとアクションに繋げにくいことが分かるかと思います。
次回
今回は、その1の「定量分析と定性分析」というお話しをしました。
- その1 定量分析と定性分析
- その2 分析の基本は比較 ⇒ 次回
- その3 古くて新しいQC7つ道具 ※5回に分けてお話し
- その4 古くて新しい新QC7つ道具 ※5回に分けてお話し
- その5 要因分析と統計的因果推論 ※3回に分けてお話し
次回は、その2の「分析の基本は比較」というお話しをします。
もっと知りたい方はこちら
14のフレームワークで考える かんき出版 (2014/9/18) |