データを集めたら、次にデータを分析しなければなりません。
集めたデータと分析の関係は、食材と料理の関係に似ています。良い食材であっても料理人の腕に問題があると台無しになることがあります。不十分な食材でも調理しだいで美味しくなることもあります。
データの分析の考え方と最も基本的な手法について、全15回にわたってお話しいたします。
- その1 定量分析と定性分析
- その2 分析の基本は比較 ⇒ 今回
- その3 古くて新しいQC7つ道具 ※5回に分けてお話し
- その4 古くて新しい新QC7つ道具 ※5回に分けてお話し
- その5 要因分析と統計的因果推論 ※3回に分けてお話し
前回は、その1の「定量分析と定性分析」についてお話ししました。
今回は、その2の「分析の基本は比較」というお話しをします。
Contents
比較して初めて見えてくることがある
分析の基本は比較です。
比較して見えてくることがあります。
例えば……
- 今日の気温と昨日の気温を比較する
- 今年の1店舗当たりの売上と昨年の1店舗当たりの売上を比較する
つまり……
- 今日は暖かいとか
- 今日は寒いとか
- 売上が好調だとか
- 売上が不調だとか
……は何かと比較するから言えるのです。
比較の力はすごんです
比較の力を使って……
- どちらの広告の効果が高いのだろうか?
- どちらの商品が売れるだろうか?
……などが分かります。
例えば、インターネットのバナー広告
2つの広告を準備します。ABテストと呼ばれています。
広告Aと広告Bをランダム(でたらめの順番)にインターネット上に表示させます。
ある程度データが集まったら広告効果を比較して分析します。
分析の結果、効果の高い広告を残すというアクションをすることでしょう。
例えば、商品開発
2つの商品候補があります。できれば売れる商品を発売したいです。
どちらの商品が売れるでしょうか?
この商品が食品であれば、想定顧客が「美味しい!」と言ってもらえる方を売れば売れそうですね。
頭の中で考えただけでは答えはでてきません。
であれば、想定顧客に食べてもらえばいいのです。
F2層(35〜49歳の女性)がターゲットであれば、F2層を200名呼びます。200名のF2層を2つのグループにランダム(でたらめ)に分けます。それぞれのグループで商品1品食べてもらいます。
そして、美味しいという人の割合が多い方を売ればいいでしょう。
時間の許す限りデータを再度集めましょう
分析中、もっとこういうデータが欲しい、なんて思うことも多いです。
そのときは、時間の許す限りデータを再度集めましょう。
データの収集と分析は行ったり来たりします。そして、データを集めるときは必ず対で集めましょう。
そのとき非常に重要なことがあります。
データ分析後のメッセージは常に意識しよう!
データの収集と分析を行ったり来たりしていると、本来の目的を達するために人を動かす(アクションを起こす)、データ分析後のメッセージを忘れがちです。
つまり、有効なアクションにつながるメッセージとは関係のないところで、どんどん分析を進めてしまいがちです。
したがって、常に本来の目的を達するために人を動かす(アクションを起こす)ことに繋がるメッセージを思い浮かべておきましょう。興味本位な分析は避け、アクションに繋がる分析に集中するということです。
データ分析上のメッセージは次の5つです。
- 誰?:誰がアクションするのか?
- 目的:なぜアクションをしなければならないのか?
- 何?:そのアクションとは何?
- 具体的には?:より具体的には?
- 最初の第一歩:一番最初にすべきことは?
次回
今回は、その2の「分析の基本は比較」というお話しをしました。
- その1 定量分析と定性分析
- その2 分析の基本は比較
- その3 古くて新しいQC7つ道具 ※5回に分けてお話し
- その3-1 QC7つ道具の概要 ⇒ 次回
- その3-2 ヒストグラム・管理図・散布図
- その3-3 散布図+α(相関・回帰線)の話題
- その3-4 パレート図・特性要因図
- その3-5 チェックシート・層別
- その4 古くて新しい新QC7つ道具 ※5回に分けてお話し
- その5 要因分析と統計的因果推論 ※3回に分けてお話し
次回以降は、その3の「古くて新しいQC7つ道具」を5回に分けてお話しします。
次回は、その3-1の「QC7つ道具の概要」です。
もっと知りたい方はこちら
14のフレームワークで考える かんき出版 (2014/9/18) |