あまりにもしつこいと、嫌われます。
「そのデータ分析の効果、おいくら万円になりますか?」
データ分析の売値を聞いているわけではございません。
この「おいくら万円」とは、データ分析を本格的に実施することで、どの程度の売上アップやコストダウン、つまり利益アップが見込めるのか? ということを聞いています。
私は、しつこいぐらい言っています。嫌われたくはないですが。
お試し程度ならまだしも……
本格的にデータ分析を実務で活用する or すでに活用している
……のなら、その効果を少なくとも金額換算し示したほうがよいでしょう。
あなたが、もしビジネスの世界でいるのなら、なおさらです。そのほうが、そのデータ分析の価値がストレートに伝わります。
もちろん、「効果」には金額のような定量的に示せる効果と、そうでない定性的なものもあります。
定性的なものを否定しているわけではなく、定性的な効果も必要かもしれないが、少なくともビジネスの世界で生きているのなら、有無を言わさないのが「金額換算」された効果だ、ということです。周囲を説得するときなどに、大きな武器になります。
今回は、「そのデータ分析の効果、おいくら万円? 効果の見えないデータ分析に明日はない」というお話しをします。
Contents
少なくとも定量的に示せ
データ活用もしくはデータ分析でイメージするのは「定量化」です。特徴の一つと言ってもよいでしょう。
そのデータ分析の効果を、そもそも定量的に示せないと、何となく矛盾を感じるのではないでしょうか。
定量的に物事をすすめるためにデータ活用やデータ分析をしているのに、データ分析自体の効果を定量的に示せないと、「大丈夫かな」と思われるかもしれません。
要するに、データ分析の効果は、定量的に示すことが、宿命づけられているのです。
しかし、定量化と一口に言っても、色々な定量化があります。
例えば、営業の「提案件数」も「受注金額」も定量的な指標です。人事の「新卒採用者数」も「内定受諾率」も定量的な指標です。マーケターの「ブランド認知率」も「新規顧客リスト件数」も定量的な指標です。
この中で、どの指標が最もインパクトが強いでしょうか?
金額換算で有無を言わさないのが良いかも
恐らく、最もインパクトが強いのは「金額」で示されている、「受注金額」でしょう。
次に、どの指標のインパクトが強いでしょうか?
恐らく、「提案件数」や「新規顧客リスト件数」でしょう。金額で示された定量的な指標である「受注金額」に他の指標よりも近いからです。
もちろん、「新卒採用者数」も「ブランド認知率」も非常に重要な指標です。ここで言いたいのは、どのような指標にインパクトがあるのか? ということです。
ビジネス上でデータ分析をするからには、金額換算でその効果を示すのが、最もインパクトがあります。
要するに、データ分析を本格的に実施することで、その程度の売上アップやコストダウン、つまり利益アップが見込めるのかを示せると、多くの人は納得してくれます。
4つの金額を、ざっくりでも示そう。皮算用でも構わない
「そのデータ分析の効果、金額示すとどのくらいですか?」
と聞くと、多くのデータ分析者は戸惑います。データ分析に自信がないといよりも、どのように金額換算すればよいのか分からないからです。
いきなり厳密かつ緻密に、その効果を金額で示す必要はありません。もちろん、厳密かつ緻密であるに越したことはありませんが、ざっくりでもよいので、その効果を示すほうが重要です。
主に以下の4つの金額を見積もります。
① 売上アップ額
② 売上ダウン額
③ コストダウン額
④ コストアップ額
データ分析を本格活用することで、色々な変化が起こります。
例えば、データ分析の結果、ある事業セグメントのリソースを、他の事業セグメントに割いたほうがよいとされたとします。そのある事業セグメントの売上は減少し、リソースを割いた事業セグメントの売上は増加することでしょう。このように、売上ダウンする部分もあれば、売上アップする部分もあります。
例えば、今まで外注化していたデータ分析を内製化するために、有償のデータ分析ツールのライセンスを大量に購入したとします。このようなデータ分析インフラ投資によって、その部分のコストがアップします。一方で、外注コストが減ればその部分のコストはダウンします。
要するに、データ分析を本格的に導入することで、どのような変化が起こるのかを想像し、その変化は売上アップなのかダウンなのか、コストダウンなのかアップなのかを見極め、その額を見積もればよいのです。
まずは、厳密である必要はありません。ざっくりでもよいので、データ分析の効果を金額換算してみましょう。
狸の皮算用レベルで、その効果がマイナスであれば、おそらくデータ分析を本格的に実施すると、データ分析をやればやるほど利益が減るという、目も当てられない状況に陥ります。
データ分析だけの問題ではなく、ITっぽいもの全般に言えること
そもそも、このような効果の金額換算は、データ分析だけの問題ではありません。あらゆるITっぽいもの全般に言えることでしょう。
例えば、新しい勤怠システムを導入することによって、どの程度の効果があるのか。この効果を金額で見積もる。
例えば、働き方改革の一環としてリモートワークを開始することによって、どの程度の効果があるのか。この効果を金額で見積もる。
例えば、社内研修の一部をe-learning移行することによって、どの程度の効果があるのか。この効果を金額で見積もる。
もちろん、金額では推し量れない何かもあります。それはそれとして重要ですが、効果指標の一つとして金額換算したものがあると非常にわかりやすく、納得を得られやすくなるのではないでしょうか。
データ分析だけではなく、ITっぽいもの全般に言えることですが、効果を示す指標として金額換算された定量的なものが、ビジネスの世界にいるのであれば必要になることでしょう。
今回のまとめ
今回は、「そのデータ分析の効果、おいくら万円? 効果の見えないデータ分析に明日はない」というお話しをしました。
データ分析の特徴との一つとして「定量化」というものがあります。そのデータ分析の効果そのものを定量化しないと、周囲の人はデータ分析そのものに対し疑念を抱くことでしょう。
あなたがビジネス上でデータ分析をするのであれば、データ分析の効果を単に定量化して示すだけではなく、できれば金額で示された指標で示すのが、最もインパクトが強く良いと思います。
少なくとも、本格的にデータ分析を実務の中で実施するのであれば、金額換算でその効果を示すことは、非常に重要ですし、周囲からの理解も得られやすいです。
では、どのように金額換算をし、データ分析の効果を示せばよいのでしょうか?
主に以下の4つの金額を見積もればよいでしょう。
① 売上アップ額
② 売上ダウン額
③ コストダウン額
④ コストアップ額
データ分析の本格活用の前後を比較し見積もります。
まずは厳密かつ緻密に見積もるのではなく、ざっくりでもよいので見積もってみましょう。
色々なことが見えてくると思います。思ったほど売上アップしそうにない、思ったほどコストダウンしないぞ。問題が見えてくれば、そのための対策を考えればよいのです。
効果を定量的に示すのは、「定量化」という特徴をもつデータ分析の宿命です。ぜひ、データ分析の効果を定量的に金額で一度見積もってみてください。