ここ10年、面白い現象が起こっています。次のような合言葉とともに、データ分析者が増えているのです。
「データがあるから、何か分かるでしょ?」
「とりあえず、AI(Deep Learning)で何かやれ!」
「よし! デジタルトランスフォーメーションだ!!!」
特に、社内サイエンティストが急増しています。データサイエンスの専門部署を、社内に設置する企業があるぐらいです。
なぜでしょうか。
少なくとも、ビジネスに良いインパクトをもたらすと思われているからでしょう。
それだけではありません。大前提として、データが増え続けているという現実があります。急激なIT化とともに増えています。IT化の副産物として増えています。
しかし、増え続けるデータを上手く使い、実際にビジネス貢献できているのでしょうか。
今回は、「ビジネス貢献できないデータ分析、もぉ嫌だ! 突破口は『金』指標」というお話しをします。
Contents
2000年ごろからの急激なIT化
なぜ、急にデータを分析する人が増えたのでしょうか。
データ分析をするには、データがなくてはいけません。特に、データはデジタル化された情報ですので、IT化されている必要があります。
要するに、2000年ごろからの急激なIT化によって、データが発生する下地ができました。データを蓄積するストレージも安価になったり、クラウド化したりと手軽になりました。データを溜め続けようと考えれば、データの量をどんどん増えます。そのため、古いデータを破棄する企業もあるほどです。
このように、IT化の副残物としてデータが蓄積されるようになりました。もちろん、多くのデータは汚いままです。
さらに、そのデータの分析コストも減りました。伝統的な商用のデータ分析ルーツは安くはありません。1ライセンス〇〇百万円、安くても10万円はすることでしょう。
RやPythonといったフリーで使える分析ツールが広まったことにより、高額な商用の分析ツールを購入する必要がなくなりました。もちろん、価格なりのメリットも少なくありませんが。
そして何よりも、データ分析を武器に市場を席巻する企業が、脚光を浴びた影響もあることでしょう。米国系のドットコム企業を中心に、データ分析を武器に急激に成長した企業がでてきました。
データ分析は名わき役
データ分析を武器に急激に成長した企業は、データ分析力だけでのし上がってきたのではありません。ドットコム企業であれば、秀逸なアイディアとともにのし上がってきました。
このことは重要です。データ分析は手段に過ぎません。
秀逸なアイディアなのか、素晴らしいサービスなのか、他にない製品なのか、なんでも構いませんが、データ分析は名わき役として、それらを強力にサポートします。
要するに、データ分析は「0→1」を実現するのではなく「1→10→100」の後押しをします。
どのように調理し自社のビジネスに生かすのか
少なくとも、これからもデータは増え続けるでしょう。
このようなデータを、どのように料理し自社のビジネスに生かすのかは、社内データサイエンティスト次第です。生かすも殺すもその腕次第です。
社内から、非常に大きな期待をかけられ、注目度はあがってくることでしょう。
期待といっても、魔法使いか何かと勘違いされるようだと、なかなか厳しいものがあります。魔法使いではありませんし、それほどびっくりすることが起こすわけでもありません。
データ分析は極めて地味です。
コツコツと成果を積み上げていく感じです。ドカーンと打ち上げ花火的なことはありません。
一昔前だと、このような変な期待(ものすごい発見をするという期待)も確かにありました。最近は、現実的になり、このような変な期待は、だんだんと鳴りを潜めるようになりましたが、まだ少し残っているようです。
それはさておき、いくつかの企業から、次のような相談を受けたことがあります。
「データ分析で、十分なビジネス貢献ができていない」
社内データサイエンティストを増やした、データ分析の活用に積極的な企業の多くは、あまり上手くいっていないようです。
人はそろえたけど、ビジネス貢献できていない……
データ分析でビジネス貢献するとは、どういうことでしょうか。
例えば、収益や生産性、品質、スピード、人事などといったものに対し良いインパクトをもたらすことです。
つまり、データ分析者や機械学習エンジニアといったデータサイエンス人財をそろえたけど、思うように収益や生産性、品質、スピード、人事などといったものに対し、良いインパクトをもたらせていない、ということでしょう。
1歩引いて考えてみてください。
そもそも、データ分析はビジネスの世界では必須ではありません。データ分析をしてもしなくても問題ないのです。このようなビジネスの世界で、あえてデータ分析をするからには、何か違いを見せる必要があります。
違いを見せるとは、どういうことでしょうか
違いを見せるとは、データ分析を活用することで、著しく良いインパクトをもたらすということです。
そうでない限り、ビジネスに貢献しないデータ分析という面倒な業務が、社内で増えただけで終わってしまいます。
では、その違いを、どのように見せればよいのでしょうか。
ビジネスの世界のデータ分析であれば、それは「金額」です。データ分析の成果を金額で見せるのです。
どのような言葉や指標よりも、ストーレートに伝わります。
この金額で成果を見せるという意識は非常に重要です。この金額は、データ分析を活用する現場のことが分からないと見積もれないからです。金額を意識することで、自ずと現場を意識するようになり、よりビジネス貢献できるようになります。
もし、データ分析のビジネス貢献が思った以上出ていないと感じましたら、一度試してみてください。きっといい効果が望めると思います。
今回のまとめ
今回は、「「ビジネス貢献できないデータ分析、もぉ嫌だ! 突破口は『金』指標」というお話しをしました。
2000年の急激なIT化とともにデータがたくさん蓄積されるようになり、そして、ここ10年で多くの企業がデータ分析をするようになりました。
社内にデータサイエンスの専門部署を設置したり、専任の担当者をおく企業もあります。
このようなデータを、どのように料理し自社のビジネスに生かすのかは、まさに社内データサイエンティスト次第です。
しかし、多くの企業は、データ分析でビジネス成果を思った以上に出せていないようです。なぜでしょうか。
考えられる要因にはいくつかあります。そのために対策案も色々あることでしょう。
そもそも、データ分析のビジネス成果をズバッと示せているのでしょうか。
できれば、データ分析のビジネス成果は金額で示せると最高です。分かりやすいからです。金額でビジネス成果を示すメリットは非常に大きく、単に成果を分かりやすく伝えるだけでなく、データ分析者の焦点を、データ分析を活用する現場に向けてくれます。
とりあえず、データ分析のビジネス貢献が思った以上出ていないのなら、ビジネス成果を金額で示す、ということを一度試みてください。