第91話|ビッグデータ活用が上手くいかないとき、データ分析・活用の2層構造を理解すればスッキリする

第91話|ビッグデータ活用が上手くいかないとき、データ分析・活用の2層構造を理解すればスッキリする

ビッグデータが叫ばれてから、データ分析やその活用、つまりデータ活用に、多くの企業やビジネスパーソンの目が行くようになりました。

上手くいっている企業もあれば、そうでない企業もあります。同じ企業内でも、上手くいっている部署もあれば、そうでない部署もあります。

ビッグデータに限りませんが、データ活用が上手くいかないとき、ちょっとしたことで上手くいくことがあります。

その1つのデータ分析・活用の2層構造です。

今回は、「ビッグデータ活用が上手くいかないとき、データ分析・活用の2層構造を理解すればスッキリする」というお話しをします。

データ分析・活用の2層構造

データ分析・活用は、多くの場合、以下の2つの層で成り立っています。

  • 机上
  • 現場

机上」とは、多くの人がイメージするデータ分析です。

データを使って加工したり集計したり分析したりします。また、異常検知モデルや将来予測モデルなどの統計モデルや機械学習モデルを構築したりします。

この「机上」は、あくまでもデータのこねくり回しているため、現実世界とは異なります。文字通り「机上の世界」にすぎません。

現場」とは、「机上」で得られた分析結果からの施策案やモデルなどを、現実の世界で「活用」することです。

もしかしたら、思い通りいかないかもしれませんし、思った以上の成果が出るかもしれません。

スゴイ分析」よりも「活かせる分析

データ分析者の多くは、どうしても「机上」に目が行きがちです。

その「机上」だけで、スゴイ分析をしようとします。

いくら「机上」でスゴイ分析をしても、活用されなければ、意味はありません。文字通り、机上の空論の憂き目にあってしまいます。

それよりも、「現場」で躍動する「活かせる分析」のほうが何百倍も有益です。それは、「机上」でスゴイかどうかは関係ありません。「現場」で成果を出すかが重要です。

何かしら分析したりモデルを構築していないなら、それが問題だ!

データ分析・活用が上手くいかないとき、この2層を意識して考えると、スッキリすることがあります。

先ず、「机上」層が上手くいっているのかを考えます。

もし「机上」で、それなりにデータを分析したり、何かしらのモデル構築を十分にしていない場合、それが上手くいかない問題です。

なぜならば、「現場」で活用する分析結果からの施策案やモデルなどが無いからです。

実際、そのような企業も少なくありません。DMP(データマネジメントプラットフォーム)やBI(ビジネスインテリジェンス)ツール、CRM(顧客関係管理)システムなどの、データ基盤や分析基盤などを整えているのに、その先に進めない企業です。

進む意識のない企業もありますが……

すでに何かした分析したりモデルを構築しているのに、上手くいかない場合

もし「机上」で、すでに何かした分析したりモデルを構築しているのに、上手くいっていない場合、次の2つの視点で考えます。

  • 活用
  • 成果

活用」とは、「机上」から生み出された分析結果からの施策案やモデルなどが、活用されているかどうかです。

成果」とは、分析結果からの施策案やモデルなどが、実際に成果がでるようなものかどうかです。現実的にでている場合もあれば、成果が出るはずなのに、活用されずに成果がでない場合もあります。

このとき、「活用×成果」のようにクロスさせることで、4つの可能性が考えられます。

4つの可能性

以下が、4つの可能性です。

  • 活用されておらず、仮に活用したとしても成果がでない
  • 活用されておらず、仮に活用すれば成果がでるはず
  • 活用されているのに、成果でていない
  • 活用されており、成果がでている

4番目の「活用されており、成果がでている」は問題はありません。問題は上の3つです。

一番惜しいのが、2番目の「活用されておらず、仮に活用すれば成果がでるはず」です。

現場の信頼を勝ち取り、活用してもらう努力が必要になります。

1番目の「活用されておらず、仮に活用したとしても成果がでない」は、不幸中の幸いのように見えますが、実は一番始末が悪いです。

成果がでない分析をし、しかも現場から信頼を得られず活用もしてもらえない状況です。

3番目の「活用されているのに、成果でていない」は、1番目よりも良くなさそうに見えますが、現場の信頼を勝ち取り活用してもらっているという点では、非常にスゴイことです。

ただ、データ分析そのものに問題があるということです。

それぞれで、データ分析・活用を上手くいくようにするための対策が異なってきます。「データ分析そのものが不十分」なのか、「現場の信頼を得られていない」からなのか、その両方なのかで、何をすべきかが異なってきます。

このように2層で考えることで、どこがボトルネックとなり、データ分析・活用が上手くいかないのかが、なんとなく見えてくるのではないでしょうか。

今回のまとめ

今回は、「ビッグデータ活用が上手くいかないとき、データ分析・活用の2層構造を理解すればスッキリする」というお話しをしました。

ビッグデータに限りませんが、データ活用が上手くいかないとき、データ分析・活用の2層構造を理解し、現状を整理することで、現状を打破する突破口が開けることがあります。

データ分析・活用の2層構造とは、「机上」と「現場」の2層でデータ分析・活用が構造化されているということです。

机上」とは、多くの人がイメージするデータ分析で、データを分析したりモデルを構築することです。しかし、この世界は現実ではなく机上の世界です。

現場」とは、「机上」で得られた分析結果からの施策案やモデルなどを、現実の世界で「活用」することで、思った以上に成果のこともあれば、その逆もあり得ます。

どちらの層が重要でしょうか?

もちろん「現場」です。「現場」で躍動しないデータ分析は、「机上」でどんなに凄くても無意味です。「スゴイ」分析よりも現場で躍動する「活かせる分析」です。

データ分析・活用が上手くいかないとき、この2層を意識して考えると、スッキリすることがあります。

データ分析そのものが不十分」なのか、「現場の信頼を得られていない」からなのか、その両方なのかで、何をすべきかが異なってきます。

もし、データ活用が上手くいかないとき、データ分析・活用の2層構造で、どこに上手くいかないボトルネックがあるのか探ってみてください。突破口になるかもしれません。