私は仕事柄、次のような質問をよくします。
「データの状況どうですか?」
当然ながら、その答えは千差万別です。その中で不思議な答えがあります。
「それなりにデータならあるんだけど……」
という回答と、
「まともなデータがない……」
という回答です。
何が不思議化というと、回答の仕方が異なるのに、データ状況が同じなのです。
ここで言う「データ状況」とは、社内のデータのコンディションのことで、データがどのように蓄積され、どのように活用しやすいように整備されているのか、ということです。
どちらも、データ分析・活用が進んでいないことは共通しているのですが、このデータ状況が同じなのです。
この回答で、データ分析・活用の状況が垣間見えます。そのことから、データ分析・活用の「現状(現在位置)」が分かり、何から始めるべきかが変わってきます。
今回は、「『それなりにデータならあるんだけど……』≒『まともなデータがない……』だったりする。でも、すべきことがちょっと違う」というお話しです。
Contents
「それなりにデータならあるんだけど……」
ある製造業の執行役員の方に、なんとなくデータ状況を質問したときです。
「それなりにデータならあるんだけど……。上手く活用できていない
データは結構たまっているので、何かに使えないかと考えている」
このような回答が返ってきました。
データ状況を質問したときに返ってくる、よくある回答の一つです。
どのような企業にも、何かしらデータは溜まっています。逆に、溜まっていない企業のほうが少ないでしょう。
例えば、財務データは個人事業主レベルの小規模事業者にも必ずあります。無いと逆に「ヤバイ」です。決算や確定申告ができませんから。
「まともなデータがない……」
ある小売業のIT部門の管理職の方に、なんとなくデータ状況を質問したときです。
「まともなデータがない……。使い物になるデータがなくて困っている
色々やろうと思っているけど、データ分析といえるほどのレベルに達していない」
このような回答が返ってきました。
データ状況を質問したときに返ってくる、こちらもよくある回答の一つです。
「それなりにデータならあるんだけど……」≒「まともなデータがない……」
なんとなくデータ状況を質問した後、もう少し掘り下げて質問をしていくと、面白いことが判明することがあります。
全てがすべてというわけではないのですが、「それなりにデータならあるんだけど……」という回答と、「まともなデータがない……」という回答、データ状況だけを考えると「同じ」だったりします。
どう同じかというと、「データ分析できるほど整備されているデータはない」という意味で同じです。
なぜ、真逆のような回答になるのでしょうか?
不思議と言えば不思議ですが、データ分析の活用に向けて、どの程度考えチャレンジしたのかで、回答の仕方が変わってくるようです。
何がどう違う?
先ほど、「それなりにデータならあるんだけど……」という回答と、「まともなデータがない……」という回答、データ状況だけを考えると「同じ」だったりする…… というお話しをしました。
違いは、そのデータでどこまでデータ分析したのか、もしくは、どこまでデータ分析しようとしたのか、にあったりします。
- 「それなりにデータならあるんだけど……」の場合、そもそもデータ分析をするというチャレンジをしていない。全てではないですが、そのようなケースが多いです
- 「まともなデータがない……」の場合、データ分析にチャレンジしたけど、このデータ状況では十分なデータ分析ができない。全てではないですが、そのようなケースが多いです
つまり、データ分析・活用という観点で考えると、「それなりにデータならあるんだけど……」という回答をする企業よりも、「まともなデータがない……」という企業のほうが、進んでいるケースが多いです。
どういうことかと言いますと、「データ分析したことによって、データ状況の現状が分かった」ということです。
「それなりにデータならあるんだけど……」の場合、先ずすべきこと
「それなりにデータならあるんだけど……」の場合、先ずすべきことは、今あるデータで何かしら分析してみることです。
どのような分析でも構いません。
多くの場合、相当苦労すると思います。分析できるようなデータにするための、データ整備に相当苦労すると思います。
そして、分析後に、以下のように思うかもしれません。
- 「同じ日付なのに、データによって型が違う……」
- 「データのフォーマットがバラバラすぎる……」
- 「最初から、活用しやすいように蓄積すればいいのに……」
- 「あぁ、こんなデータがあったらいいのに……」
- 「毎回、この苦労するの嫌だなぁ~、時間がかかりすぎる」
たくさん思うことが出てきます。その結果、「まともなデータがない……」になります。
「まともなデータがない……」の場合、何をすべきか
「まともなデータがない……」の場合、何をすべきでしょうか?
ビジネス成果のでるデータ分析をすべきです。それもできるだけ、理解されやすく成果の出やすいデータ分析です。
世の中的にはデータ分析・活用の注目度が上がっていますが、理解してもらえ積極的に協力してくれるどうかとは別問題です。
データ分析・活用のためのデータ整備などは、非常に大変な作業です。しかも、地味で先の見えない作業のようにさえ思えます。
しかも、データ整備しそれなりの分析結果を出したからといって、現場でそのデータ分析結果を使いビジネス成果を出すかどうかは別問題です。
つまり、データ分析・活用をスムーズに進めるためにも、一度「理解されやすく成果の出やすいデータ分析」を、大規模ではなく小規模でもいいので、すべきなのです。
その分析結果とビジネス成果をもって、周囲を説得すればいいのです。
さらに、小規模でもいいので成果の出るデータ分析をすることで、どのようなデータが必要で、どのようなフォーマットでデータを蓄積し、分析用のデータを作るためにどのような整備が必要なのかが、ある程度は見えてきます。
今回のまとめ
今回は、「『それなりにデータならあるんだけど……』≒『まともなデータがない……』だったりする。でも、すべきことがちょっと違う」というお話しをしました。
「データの状況どうですか?」という質問に対する回答は、千差万別ですが、その中で不思議な答えがあります。
よくある回答として、「それなりにデータならあるんだけど……。上手く活用できていない」という回答と、「まともなデータがない……。使い物になるデータがなくて困っている」という回答があります。一見すると真逆の回答です。
もう少し掘り下げて質問をしていくと、「それなりにデータならあるんだけど……」という回答と、「まともなデータがない……」という回答、データ状況だけを考えると「同じ」だったりします。もちろん全てではありませが。どう同じかというと、「データ分析できるほど整備されているデータはない」という意味で同じです。
なぜ、真逆のような回答になるのでしょうか?
違いは、そのデータでどこまでデータ分析したのか、にあります。
「それなりにデータならあるんだけど……」の場合、そもそもデータ分析をするというチャレンジをしていない。「まともなデータがない……」の場合、データ分析にチャレンジしたけど、このデータ状況では十分なデータ分析ができない。
データ分析・活用という観点で考えると、「それなりにデータならあるんだけど……」という回答をする企業よりも、「まともなデータがない……」という企業のほうが、進んでいるケースが多いです。
では、それぞれで何をすべきでしょうか?
「それなりにデータならあるんだけど……」の場合、先ずすべきことは、今あるデータで何かしら分析してみることです。どのような分析でも構いません。しかし、多くの場合、相当苦労すると思います。たくさん思うことが出てきます。そして、その結果の「まともなデータがない……」になります。
「まともなデータがない……」の場合、何をすべきでしょうか? 大規模でなくていいので、小規模で理解されやすく成果の出やすいデータ分析をすべきです。
世の中的にはデータ分析・活用の注目度が上がっていますが、理解してもらえ積極的に協力してくれるどうかとは別問題です。現場でそのデータ分析結果を活用してくれないかもしれません。
一度、大規模でなくていいので、小規模で理解されやすく成果の出やすいデータ分析をすべきです。その分析結果とビジネス成果をもって、周囲を説得すればいいのです。
つまり、同じデータ状況でも、現在の立ち位置が微妙に異なり、ネクストアクションが微妙に異なります。