第123話|データサイエンティストとゆかいな仲間たち

第123話|データサイエンティストとゆかいな仲間たち

ビジネスの世界でデータサイエンスを実現するには、当然ながらデータサイエンティストは必須です。

しかし、データサイエンティストだけで実現するのは無理でしょう。

ものすごいデータサイエンティストがいるのならば、もしかしたら可能かもしれませんが、多くの場合不可能です。

上手くいかないよくあるパターンが、社外からデータサイエンティストだけを集めたり、社内でデータサイエンティストだけを教育するプログラムを作ったり、データサイエンティストだけの組織を作ったりすることです。

最悪は、周辺に仲間も理解者もいない独りぼっち状態のデータサイエンティストです。

じゃぁ、データサイエンティストが複数いればいいのか、となりがちちですがそうではありません。組織内で孤立していれば、複数人で「ぼっち状態」になっているだけで、状況は同じです。

今回は、「データサイエンティストとゆかいな仲間たち」というお話しをします。

データサイエンスとデータサイエンティスト

ビジネスの世界では「データとドメインを結びつける」のがデータサイエンスになります。

ドメインとは、データ分析・活用する現場のことです。

現場とは、経営の現場かもしれませんし、営業の現場かもしれませんし、生産の現場かもしれません。

消費者視点では、お店やECサイトなどの買い物も、購買行動の現場になります。

そして、この「データとドメインを結びつける人財」が、データサイエンティストになります。

どのような人財がさらに必要なのでしょうか

データサイエンティストの必須スキルと言われいるのは、「データサイエンス」「データエンジニアリング」「ビジネス力」の3つのスキルセットです。

すべてプロ級に備えている人は、ほぼ皆無でしょう。

多くの場合は、データサイエンスのスキルが尖っていて、残りはそこそこのレベルといった感じかと思います。

そのため、高度なデータエンジニアリングのスキルを備えたデータエンジニアが必要なのです。

このお話しは前回お話ししました。
第122話|データサイエンティストの最高の相棒データエンジニア

では、データエンジニア以外では、どのような人財が必要なのでしょうか。

「データサイエンス」「データエンジニアリング」「ビジネス力」の内、「データサイエンス」がデータサイエンティスト、「データエンジニアリング」がデータエンジニア、となると残りの「ビジネス力」の部分のプロ級の人財が必要になります。

データサイエンスで成果を出したいのなら、プロ級のドメイン知識を持った人が必要になります。

ドメインをつなぐデータサイエンスを理解している「ビジネスパーソン」

幸いなことに、多くの場合、プロ級のドメイン知識を持った人は社内にいます。

しかし、プロ級のドメイン知識を持った人が全員、データサイエンスを分かっていたり理解を示したりするわけではありません。

そのため、データサイエンティストとプロ級のドメイン知識を持った人との間をつなぐビジネスパーソンが必要になります。

どうすれば、どのようなビジネスパーソンを育成することができるのでようか。

多くの場合、そのドメインに属していた人が、データサイエンスの知識などを身に着けるのが、手っ取り早いでしょう。

人によっては、データサイエンスの知識などを身に着けるだけでなく、データサイエンティストそのものになることもあります。

社内政治力のあるデータサイエンスを理解している「ビジネスパーソン」

これで人財は十分かと言えば、まだ不十分です。

「ビジネス力」の部分で、もう一つ不足しているものがあります。

社内政治力です。

日本の大企業ほど必要かもしれません。経営陣などのトップマネジメント層や、周囲の部署の管理職へ働きかけることの得意なビジネスパーソンが必要になります。

「アホらしい」と感じる人もいるかもしれませんが、この「アホらしい」ことを疎かにしたがために、データサイエンスが上手く進まないことが多々あります。

社内IT専門家を仲介するデータサイエンスを理解している「ビジネスパーソン」

データサイエンスを実現するとき、既存のITシステムやクラウド上で、構築した数理モデルなどを実装することがあります。

そのため、情報システム部などの社内IT専門家も必要になります。

データサイエンティストが、情報システム部など出身者でなない場合には、その間をつなぐビジネスパーソンが必要になります。

今回のまとめ

今回は、「データサイエンティストとゆかいな仲間たち」というお話しをしました。

データサイエンティストは、周囲の助けなしに能力を発揮することは、非常に難しいです。データサイエンティストに限らず、他の職種でもそうでしょう。

データサイエンティストに対し馴染みのない企業では、誰が必要かが分からないケースも多々あります。

例えば、以下のような人財がいることで、ビジネスの世界でデータサイエンスで成果を出しやすくなります。

  • データサイエンティスト
  • データエンジニア
  • ドメインをつなぐデータサイエンスを理解している「ビジネスパーソン」
  • 社内政治力のあるデータサイエンスを理解している「ビジネスパーソン」
  • 社内IT専門家を仲介するデータサイエンスを理解している「ビジネスパーソン」

各人財1名と言うわけではありません。

通常は、データサイエンティストよりもデータエンジニアは多いです。

ドメインが複数あれば、それだけ多くの「ドメインをつなぐデータサイエンスを理解しているビジネスパーソン」が必要になります。

さらに、人によっては複数の役割を担う人もいることでしょう。

他にもあるかもしれまんが、少なくとも以上の5つの人財が必須です。

そのため、データサイエンティストを集めたり育成したりすることと同じぐらい、その周辺の人財を集め育成することが求められます。