ビジネスにおけるデータ活用は、あくまでも課題解決の手段の1つにすぎません。主役ではなく脇役です。
そもそも、ビジネス上の課題を解決するのに、データは必須ではありません。
しかし……
- ビッグデータだ!
- データサイエンスだ!!
- AI(人工知能)だ!!!
……と前のめりになっているとき、「データを使って出来ることはないか!」と考えがちです。
「データを使って何かしろ!」という感じになり、データで出来ることを探し始める人も少なくありません。
その典型的な問いが以下です。
「このデータで何かできませんか?」
データのために、活躍の場を探し与えるかのようです。
では、どうすればいいのか?
今回は、「データ分析・活用のテーマ候補の探し方」というお話しをします。
Contents
データの存在を忘れて考えよう
「データを使って何かしろ!」という感じになっても、データで出来ることを探し始めてはいけません。
なぜならば、データの可能性を、殺してしまうことがあるからです。
データの可能性を殺すとは、データで課題解決できた何かを見つけられず、データで解決する機会を奪い去ることを意味します。
そのため先ずは、「データでビジネス課題を解決しよう」という考え方を捨てます。
「えっ!」と思うかもしれませんが、データの存在を忘れて、解決すべきビジネス課題を考えていきます。
データを活用するかどうかに関係なくビジネス課題を洗い出そう
ではどうすればいいのでしょうか?
非常に簡単です。
ビジネスの「お困りごと」である「ビジネス課題」を、データを活用するかどうかに関係なく洗い出せばいいのです。
データを使うという制約が外されることで、色々なビジネス課題(ビジネスの「お困りごと」)が洗い出されることでしょう。
ちなみに、「ビジネス課題」をビジネスの「お困りごと」と表現していますは、意図的に表現しています。
理由は、「ビジネス課題を書き出してください」と現場に頼むよりも、「仕事のお困りごとを書き出してください」と頼んだほうが、たくさんのビジネス課題(ビジネスの「お困りごと」)が出てきます。
あくまでも、私の経験上のお話しです。
そして、データを使ったほうがよさそうなテーマを探す
データを活用するかどうかに関係なくビジネス課題を洗い出した後にすべきことは、当然ですが「データを使ったほうがよさそうなテーマを探す」ということになります。
整理すると……
- 先ず、データを活用するかどうかに関係なくビジネス課題を洗い出す
- 次に、データを使ったほうがよさそうなテーマを探す
これが、分析テーマの「候補洗い出し」の考え方です。
そして、本当にデータで解決できそうであれば、そのデータでビジネス課題を解決すればいいのです。
ただそれだけです。
ポイントは、「最初は、データの存在を忘れて、解決すべきビジネス課題を考える」というところです。
このことで、「データで課題解決できた何かを見つけられず、データで解決する機会を奪い去る」ことをある程度避けることができます。
逆算アプローチで、データを使うべきかどうかを考えよう
ビジネスの「お困りごと」である「ビジネス課題」を、データを活用するかどうかに関係なく洗い出したら、次にデータを使ったほうがよさそうなテーマを探します。
探し方は非常にシンプルで、逆算アプローチで探していきます。
例えば、データを活用するかどうかに関係なく洗い出したビジネス課題に対し、以下の逆算アプローチで、データを活用したほうが良さそうかを考えていきます。
- Step.1 課題のBefore(現状、As-Is)→After(解決された状態、To-Be)を考える
- Step.2 Before→Afterの変化を起こすのに何が必要なのかを考える
- Step.3 仮にデータ分析が必要ならば、どのような分析が必要かを考える
- Step.4 その分析をするために、どのようなデータが必要になるのかを考える
- Step.5 その必要なデータの中で、すでに使えるデータとそうでないデータを考える
このステップを通すことで、その課題にとってデータが必要かどうかが分かります。さらに、そのようなデータが存在するのかも分かります。
ビジネス課題の3つのタイプ
データを活用するかどうかに関係なく洗い出したビジネス課題に対し、先ほどのステップをと通すことで、以下の3つのタイプに大別されます。
- タイプ1 データ分析を使う必要がまったくない課題
- タイプ2 データ分析をフル活用するほうがいい課題
- タイプ3 ちょっとだけデータ分析の力を借りるほうがいい課題
私の経験上、「データ分析をフル活用するほうがいい課題」はほとんどありません。大半は、「ちょっとだけデータ分析の力を借りたほうがいい課題」です。
しかし、「企業内で、データ分析で何かやるぞ!」という声が上がった場合、この「データ分析をフル活用したほうがいい課題」をいきなり探すところから始めることが多い気がします。
今回のまとめ
今回は、「データ分析・活用のテーマ候補の探し方」というお話しをしました。
ビジネス課題をデータ分析で解決しようと考えたとき、先ずすべきは「データの存在を忘れて考える」ことです。
「データを使って何かしろ!」という感じになったとき、データで出来ることを探し始めてはいけません。
先ずは、データを活用するかどうかに関係なくビジネス課題を洗い出します。その後、データを使ったほうがよさそうなテーマを探すのです。
データを使ったほうが良さそうかどうかは、次の5つのステップで考えていきます。
- Step.1 課題のBefore(現状、As-Is)→After(解決された状態、To-Be)を考える
- Step.2 Before→Afterの変化を起こすのに何が必要なのかを考える
- Step.3 仮にデータ分析が必要ならば、どのような分析が必要かを考える
- Step.4 その分析をするために、どのようなデータが必要になるのかを考える
- Step.5 その必要なデータの中で、すでに使えるデータとそうでないデータを考える
この結果、データを活用するかどうかに関係なく洗い出したビジネス課題は、ざっくり以下の3つに分かれます。
- タイプ1 データ分析を使う必要がまったくない課題
- タイプ2 データ分析をフル活用するほうがいい課題
- タイプ3 ちょっとだけデータ分析の力を借りるほうがいい課題
「企業内で、データ分析で何かやるぞ!」という声が上がった場合、「データ分析をフル活用したほうがいい課題」をいきなり探すところから始めることが多い気がします。
そして、簡単には見つかれません。見つかったらラッキー! という感じです。
大半は、「ちょっとだけデータ分析の力を借りたほうがいい課題」です。
したがって、ビジネス課題をデータ分析で解決しようと考えたときのテーマ候補は、「ちょっとだけデータ分析の力を借りる方がいい課題」が大半になります。
この中で、容易にビジネスインパクトを得られる課題を分析テーマとして選択すればいいのです。