データを使い実務的な課題をどのように解決していくのか、というデータ活用上の問題があります。
幾つかやり方がありますが、最も取っ組みやすい問題解決フレームワークに、PPDACサイクルというものがあります。
マネジメントサイクルで有名なPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルというものがありますが、PPDACサイクルはちょっと異なります。
大きく異なるのは、PPDACサイクルがデータを使うことを前提にしていることです。
厳密には、データというよりも情報と言ったほうがいいかもしれませんが。
今回は、「小学生でも使えるデータを使った問題解決フレームワークPPDACとは?」というお話しをします。
PPDACサイクル
PPDACサイクルは、1990年代に作られたデータ分析による課題解決マネジメントサイクルです。
以下の5つのステップで構成されています。
- P(Problem):課題の設定
- P(Plan):調査・分析の計画
- D(Data):情報収集(データを集めたり、ヒアリングしたりする)
- A(Analysis):情報の整理・集計・分析・数理モデル構築など
- C(Conclusion):とりあえずの結論
PPDACは、P(Problem、課題設定)からスタートし……
P(Problem、課題設定) → P(Plan、計画) → D(Data、データ収集) → A(Analysis、データ集計・分析・数理モデル構築など) → C(Conclusion、とりあえずの結論)
……の順番に進みます。
Cまで進んだら、必要があれば再度P(Problem、課題設定)に戻り、新たなPPDACがスタートします。
要するに、PPDACを何度も回転し回していくことになります。
小学生でも使える
このサイクルの優れているところは、実用的で誰でも使えることです。
「小中学生」がデータを活用した問題解決力を身につける教育でも使われています。
児童が解決したくなる題材で,PPDACサイクルを意識した展開に
新しい算数 | 2年度用 小学校教科書のご紹介 | 東京書籍
https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/text/shou/sansu/introduction/page11.html統計的問題解決の重視|令和2年版 小学校算数 内容解説資料
https://www.dainippon-tosho.co.jp/introduction2020/sansu/statistics.html
しかも、私自身実際に使ってみて分かったことは、ビジネスの実務でも非常に有効であることです。
基本は何度も回す
このPPDACサイクルは、時間をかけて高品質なサイクルを1回するのではなく、短時間にそこそこのサイクルを何回も回します。
例えば、データ分析で何かしらの提言をするまでの期間が1週間であれば5サイクル(1日1回ペース)回します。期間が1日であれば2サイクル(3時間に1回ペース)回します。
PPDACサイクルを何回も回しながら対応策の質を高めていきます。
PPDACサイクルを1回転するたびに「とりあえずの結論(Conclusion)」を出していきます。
3つのPPDACサイクル
データ分析・活用を実現するには、以下の3つのフェーズを順に実施する必要があります。
- テーマ設定フェーズ
- モデル構築フェーズ
- テスト運用フェーズ
テーマ設定フェーズ
「テーマ設定フェーズ」は、データ分析・活用のテーマを設定するフェーズです。
理想は 「筋の良いテーマ」を探し、テーマとして設定することです。
設定するテーマを間違うと、どんなに努力しても、なかなか成果を出すことが難しくなります。
そのため、非常に重要になってきます。
ちなみに、筋の良いテーマとは、効果が大きくやり易いテーマです。
モデル構築フェーズ
「モデル構築フェーズ」は、実際にデータなどを集め、データ分析で解決するテーマにとって必要なモデルなどを構築し、実務活用の準備をするフェーズです。
実際にデータなどを集めるところから始めるため、テーマ設定フェーズで描いた絵が、実は実現できないということが、分かることもあります。
例えば……
- 想定したデータがない
- データ量が足りない
- データが汚すぎてそのまま使えない
……など、データにまつわる色々なトラブルが待ち構えています。
その克服に時間とコストがかかりそうであれば、場合によっては「テーマ設定フェーズ」に戻りテーマ選定からやり直す必要もでてきます。
テスト運用フェーズ
「テスト運用フェーズ」は、モデル構築フェーズで準備したモデルなどを使い、思い描いたような成果をあげられるそうかを、一部署などでテスト的に実施し検討するフェーズです。
想定した業務プロセスが上手く流れなかったり、無理(過重労働で対応)をしなければ回らなかったり、運用上の問題が色々でてきます。
例えば……
- データの集め方
- 加工の仕方
- 分析の仕方
- モデル構築の仕方
- 分析結果や予測結果を出すタイミング
- 現場への結果の渡し方や受け取り方
- 分析結果や予測結果の見せ方(媒体やグラフ表現含む)
- 分析結果や予測結果の見方(何のために何をどうみるのか)
- 現場での活用の仕方
……など、色々な改善すべき課題が出てきます。
さらに、テストとは言え、実務活用するため、何かしらの成果を手にします。
その成果が想定したよりも少なかったり、逆に多かったりします。
もし、モデル構築でどうにかなりそうであれば、「モデル構築フェーズ」に戻りますし、テーマそのものを変えた方が良さそうだとなれば、「テーマ設定フェーズ」に戻ります。
このフェーズで、本格的なデータ分析・活用の運用を実施すべきかどうかの判断をします。
それぞれで何度も回す
この3つの各フェーズで回すPPDACサイクルは、PPDACサイクルのテーマもアウトプットも、それぞれ異なります。
ちなみに、1つのフェーズで1回だけPPDACサイクルを回すというわけではありません。
各フェーズの結論が固まるまで、何度でも回します。さらに、各フェーズを行ったり来たりします。
気軽に、ガンガンPPDACサイクルを回していきましょう。
今回のまとめ
今回は、「小学生でも使えるデータを使った問題解決フレームワークPPDACとは?」というお話しをしました。
PPDACサイクルは、1990年代に作られたデータ分析による課題解決マネジメントサイクルで、5つのステップで構成されています。
- P(Problem):課題の設定
- P(Plan):調査・分析の計画
- D(Data):情報収集(データを集めたり、ヒアリングしたりする)
- A(Analysis):情報の整理・集計・分析・数理モデル構築など
- C(Conclusion):とりあえずの結論
「小中学生」がデータを活用した問題解決力を身につける教育でも使われるぐらい、使いやすい課題解決フレームワークです。
PPDACサイクルは、それだけで十分使えるものです。
それなりのデータ分析・活用を実現するには、以下の3つのフェーズを順に実施する必要があります。
- テーマ設定フェーズ
- モデル構築フェーズ
- テスト運用フェーズ
それぞれのフェーズで、PPDACサイクルを回していきます。
次回以降に、それぞれのPPDACについて簡単に説明していきます。