データサイエンスを実践するときのテーマ、要はデータ分析・活用のテーマですが、あなたの場合には、どのように決まっているでしょうか。
ざっくりエライ人から降ってきたテーマと、現場から湧き出てきたテーマがあります。
もちろん、メリットとデメリットがあります。
今回は、「データ分析・活用テーマ、上からのテーマと下からのテーマ、よくよく考えると目的が異なることもある」というお話しです。
視座の高さ
視座の高さというポイントで考えてみます。
エライ人から降ってきた上からのテーマの方が、現場から湧き出てきた下からのテーマよりも、当然ながら高い可能性があります。
ポジション的な要因や、持っている情報量などに依存するかと思います。
個別最適よりも全体最適ということで、視座が高い方がいいでしょう。
期待される効果の大きさ
視座の高さと関連してくるのが、期待される効果の大きさです。
現場から湧き出てきた下からのテーマの場合、影響範囲が自分の周囲に限られる可能性が高いため、自ずと期待さえる効果も小さくなりがちです。
もしくは、他部署などへの波及効果が見積もれず、自部署だけの効果だけ見積もり、小さく見積もってしまう可能性もあります。
そのようなこともあり、エライ人から降ってきた上からのテーマの方が、効果を見積もると大きくなる可能性があります。
勝手に、テーマとともに期待される効果(実現しなければならない効果)が降ってくることもありますが……
そして、多くの人の理解と協力を得られやすい、というポイントも見逃せません。
パフォーマンス
ここで言うパフォーマンスとは、「性能」や「動作」などのことではなく、「演戯」や「芝居」などのことを指しています。
経営層の関心の高いテーマや世の中受けするテーマを設定し、取り組んでいる風を装うパフォーマンスです。
データ分析・活用する現場無視で、受け狙いや取り組んでいるぞアピールのためだけの、無意味なデータサイエンスです。
この危険性は、エライ人から降ってきた上からのテーマの方が高い印象があります。
現実問題との整合性
受け狙いや取り組んでいるぞアピールのためだけの、パフォーマンス目的のテーマの場合、当然ながら現実問題との整合性はありません。
現実問題をヒントに作られても、目的がパフォーマンス狙いになるため、現実問題から離れていきます。
要するに、会社や組織にとって、やっているアピール以外のメリットはない、という感じになります。
全国紙や経済紙などに取り上げられ、一時的な株価上昇をもたらすかもしれませんが、PL(損益計算書)に響くような成果(売上や営業利益などのアップなど)を上げることなく、やったことがあるとう思い出で終わります。
このようなテーマに取り組んでも、何も成果を得ることはできないため、データを活用したプロジェクトに関わったメンバーのモチベーションを大きく下げる可能性があります。
これも、エライ人から降ってきた上からのテーマの方が高い印象があります。
では、なぜ成果がでないのでしょうか?
それは、実現可能性が低いからです。
実現可能性
実現可能性が低いテーマは、上手くいきません。
なぜならば、実現する可能性が低いからです。
実現できないものは実現できません。
100メートルを5秒台で走れ! と言われても無理です。100メートルを2秒台で泳げ! と言われても無理です。背中から自分の羽を出せ! と言われても無理です。その羽で自分の力だけで太陽まで飛べ! と言われても無理です。
今、極端な例を挙げましたが、このようなテーマ設定は意外とあります。
エライ人から降ってきた上からのテーマの方が、現場から湧き出てきた下からのテーマよりも、実現可能性が低い可能性があります。
論理的に考えて無理なケースもありますが、論理的な考えると行けるけどダメなケースもあります。
それは「当事者意識」、「モチベーション」、「納得感」などの心の問題です。
先ずは、上からのテーマよりも下からのテーマ
データサイエンスやデータ分析などで、それなりの成果を出せていないのならば、現場から湧き出てきた下からのテーマからチャレンジした方がいいでしょう。
壮大なエライ人から降ってきた上からのテーマよりも、期待される効果は小さいかもしれませんが、成功確率は高まります。
データサイエンスやデータ分析などで成果を出せたという成功体験は、非常に重要です。
先ずは、成功体験を積むことに注力した方が得策です。
それなりの成果を出せていないのに、壮大なエライ人から降ってきた上からのテーマをいきなり成功させるのは、至難の業です。
今回のまとめ
今回は、「データ分析・活用テーマ、上からのテーマと下からのテーマ、よくよく考えると目的が異なることもある」というお話しをしました。
ざっくりエライ人から降ってきたテーマと、現場から湧き出てきたテーマがあります。
メリットとデメリットを、以下の5つの視点でお話ししました。
- 視座の高さ
- 期待される効果の大きさ
- パフォーマンス
- 現実問題との整合性
- 実現可能性
どんなに視座が高く期待される効果が大きいテーマであっても、実現可能性が低い場合、当然ながら成果は出にくいです。
データサイエンスやデータ分析などで、それなりの成果を出せていないのならば、現場から湧き出てきたテーマにまずはチャレンジすべきです。
なぜならば、実現可能性が高いため成功確率が高いからです。