データを使い販売力を効率的に高めるセールスアナリティクスには、3つの典型的なテーマがあります。
- 新規顧客の獲得
- 既存顧客の離反阻止
- 既存顧客の取引額拡大
もしくは、3つを区別せず「売上」や「利益」、「コスト」という感じで合算して数字を分析する感じになるかもしれません。
そういう意味では、典型的なテーマは3つではなく4つと言えるかもしれません。
その中で、最近多いケーススタディを何回かに分けて紹介してきました。今回が最終回です。
今回は、「需要予測と発注最適化」のお話しをします。
Contents
今も昔も多いデータ分析・活用の一つ
「需要予測」も、「新規顧客の獲得」「既存顧客の離反阻止」「既存顧客の取引額拡大」の3つを区別せず「売上」や「受注件数」、「販売量」という感じで合算して数字を分析し活用する、今も昔も多いデータ分析・活用の一つです。
もちろん、購入者が誰なのかを特定できる場合は、新規や既存顧客といったものを区別したほうがいいでしょう。
ここで議論を簡単にするために、需要予測を売上予測として話しを進めます。
売上を左右する要因
売上を左右する要因はたくさんあります。
カレンダー要因(季節性や曜日など)もあれば、どのような広告・販促を行ったのかというのもあります。
店舗であれば、エリア特性や天候なども考えられます。
このような売上を左右する要因を「説明変数X」とし、売上を「目的変数Y」とし「数理モデル」(予測モデル)を構築することで、売上を左右する要因がどうなると売上がどうかわるのかシミュレーションできるようになります。
「目的変数Y」(例:売上)のデータだけで予測モデルを作ることもある
前回の「モニタリング指標の異常検知」でも説明した通り、「目的変数Y」(例:売上)のデータ以外に、「目的変数Y」に影響を与える要因に関するデータである「説明変数X」(例:カレンダー情報、広告・販促、エリア特性、天候など)が豊富にあれば、より精緻な「数理モデル」(予測モデル)を構築することができます。
最悪は、「目的変数Y」(例:売上)のデータだけで、「数理モデル」(予測モデル)を構築します。
「説明変数X」のデータがないから「数理モデル」(予測モデル)が構築できない、ということはありません。
発注のためのデータ分析・活用
単に需要を予測するだけでもいいですが、需要予測とセットで実施されることの多いのが、発注のためのデータ分析・活用です。
「発注最適化」と呼ばれるデータ分析・活用です。
ちなみに「発注最適化」も、「新規顧客の獲得」「既存顧客の離反阻止」「既存顧客の取引額拡大」の3つを区別せず実施する、今も昔も多いデータ分析・活用の一つです。
もちろん、こちらも購入者が誰なのかを特定できる場合は、新規や既存顧客といったものを区別したほうがいいでしょう。
新聞売り子問題
「発注最適化」と呼ばれるデータ分析・活用は、昔から「新聞売り子問題」と呼ばれ、色々と議論されてきました。
「新聞売り子問題」とは、機会損失と売れ残りを考慮し、売上や利益を最大化しようとするものです。
このデータ分析・活用で利用する需要予測は、予測した「特定の値」(例:100個売れる)ではなく「分布」になります。
この「分布」の最も簡単な作り方は、過去のデータを集計しヒストグラムと呼ばれる集計もしくはグラフを求めることです。
「目的変数Y」(例:売上)を予測するための「数理モデル」(予測モデル)の中には、「特定の値」(例:100個売れる)を予測するものと、「分布」を予測するものがあります。
「分布」を予測する「数理モデル」(予測モデル)の方が使い勝手はいいです。
「分布」を予測できれば、「特定の値」(例:100個売れる)を予測することができるからです。
ちなみに、逆は無理です。
「目的変数Y」(例:売上)のデータだけで予測モデルを作ることもある
この「発注最適化」も、「目的変数Y」に影響を与える要因に関するデータである「説明変数X」(例:カレンダー情報、広告・販促、エリア特性、天候など)が豊富にあれば、より精緻な「数理モデル」(予測モデル)を構築することができます。
しかし、「目的変数Y」(例:売上)のデータだけでも、「数理モデル」(予測モデル)が構築できます。
「説明変数X」のデータがないから「数理モデル」(予測モデル)が構築できない、ということはありません。
今回のまとめ
今回は、「需要予測と発注最適化」のお話しをしました。
どちらも、「目的変数Y」(例:売上)のデータだけでも、「数理モデル」(予測モデル)が構築できます。
「目的変数Y」に影響を与える要因に関するデータである「説明変数X」(例:カレンダー情報、広告・販促、エリア特性、天候など)が豊富にあれば、より精緻な「数理モデル」(予測モデル)を構築することができます。
そのため、実施しようと思えばすぐにでも実施できる、今も昔も多いデータ分析・活用の一つです。
この場合の需要予測は、予測した「特定の値」(例:100個売れる)ではなく「分布」を予測します。