何事にも始まりが必ずあるように、多くの食べ物は、誰かが最初に口にしたはずです。
例えば、多くの野菜やキノコも同様でしょう。
集めたデータと分析の関係は、食材と料理の関係に似ています。
今回は、「あなたは、誰も食べたことのない『野生のキノコ』を率先して食べられますか?」というお話しです。
腕次第
素晴らしい食材であっても、料理人の腕に問題があると台無しになることがあります。逆に、ありものの食材でも、調理しだいで美味しくなることもあります。
データ分析やデータサイエンスなども同じです。
素晴らしいデータがあるのに台無しにすることもありますし、不十分なデータでも価値を生み出すこともあります。
そして、最初に試される腕が「テーマ設定」にあります。
データサイエンス実践(データ分析・活用)の成否を左右するのは、テーマ選定にあります。
理由は単純です。
上手くいきそうもないことを、いくら頑張っても、上手くいかないからです。
何が食べたいのか?
「テーマ設定」とは、料理で言い換えると「作る料理を決める(オーダーをもらう)」です。
何を食べたいのか分からないと、何を作ればいいのか分からないように、現場でどのような価値を生み出したいのか分からないと、どのようなデータ分析をすればいいのか分かりません。
オーダーがない状況で、何を食べたいのか、どのような価値を出したいのかを、推測することは非常に困難です。
推測するには熟知している必要があります。料理を食べる人を熟知していないと好みが分からないように、現場を熟知していないとどのようなデータ分析を望んでいるのか見えてきません。
多くの場合、データ分析者やデータサイエンティスト側は現場を熟知していないので、現場とともにテーマを設定することになります。
料理店がお客さんに何を食べたいのかオーダーを聞くのと同じです。
そのデータ分析結果で、現場は動けますか?
どんなにおいしい料理でも、食べてもらって「おいしい」と言ってもらえないと、作り手は悲しいでしょう。
データサイエンスやデータ分析も同じで、現場で活用してもらって「ありがとう」と言ってもらえないと悲しいものでしょう(たぶん)。
「ありがとう」という言葉以前の問題が、データ分析の世界では起こりえます。現場で活用されないデータ分析結果です。料理で言い換えると、一口も食べてもらえない料理という感じです。
「食べてみようかな」と思われる料理のように、データ分析も現場から「やりたい」「やれそう」「イメージが付く」などの声が上がる分析結果でないと、いけません。
逆に「でっ???」となったらおしまいです。
丁寧な説明とフォローが必要
生まれて初めて見る食材で作った料理や、誰もが食べるのを避けている料理を、我先に食べる人が少ないと思います(性格によるとは思いますが……)。
データ活用の進んでいない現場で、積極的にデータ活用しようとしてくれる人は、誰も食べたことのない「野生のキノコ」を率先して食べてくるような人です。
そんな冒険心溢れた人がいない場合、よく分からない謎だらけのデータ分析結果は、そっと机の中(PCなどのストレージ???)にしまっておかれます。
慎重な人ほど、誰も食べたことのない「野生のキノコ」を率先して食べることが無いように、慎重な人ほど、今までやったことのない「データ活用」を率先してやることはないでしょう。
だから、現場から「やりたい」「やれそう」「イメージが付く」などの声が多いデータ分析を心掛ける必要があるのです。
今回のまとめ
今回は、「あなたは、誰も食べたことのない『野生のキノコ』を率先して食べられますか?」というお話しをします。
データ活用の進んでいない現場で、積極的にデータ活用しようとしてくれる人は、誰も食べたことのない「野生のキノコ」を率先して食べてくるような人です。
そんな冒険心溢れた人がいない場合、よく分からない謎だらけのデータ分析結果は、そっと机の中(PCなどのストレージ???)にしまっておかれます。
要は、丁寧な説明とフォローが必要になります。
そもそも、現場でどのような価値を生み出したいのか分からないと、どのようなデータ分析をすればいいのか分かりません。
要は、データ分析者やデータサイエンティスト側が、勝手にテーマ設定しプロジェクトを進めると、現場無理解の不可解な何を現場に提供することになります。
新型コロナウイルス接触確認アプリである「COCOA」のように、日の目をあまり見ない何かを提供することになります。
最悪、IT化やDXの名のもとに、使いづらい社内システムを強要する、多くの情報システム部(すべてではありません)と同じになってしまいます。属に言う「IT化の不効率」です。