第246話|顧客のハードな特性とソフトな特性を使いこなしデータ活用

第246話|顧客のハードな特性とソフトな特性を使いこなしデータ活用

15年以上前の顧客データ分析は、性別や年代、居住地などの顧客のハードな特性を活用したものが多い印象があります。

マーケティングの世界のペルソナ設定(架空のユーザー像)で登場するような特性です。

実際、マーケティングの世界で比較的よく利用される因子分析クラスター分析などは、顧客のハードな特性(性格・価値観・趣味嗜好・ライフスタイルなど)をもとにしたものが多い気がします。

ここ10年ぐらいの間に、日々変化する顧客のソフトな特性を組み込むケースが増えてきました。

今回は、「顧客のハードな特性とソフトな特性を使いこなしデータ活用」というお話しをします。

顧客のソフトな特性とは?

顧客のソフトな特性とは何なの? と疑問に思われた方もいるかもしれません。

例えば……

  • 来店記録
  • 閲覧履歴
  • 問合履歴
  • 相談履歴
  • 見積履歴
  • 購入履歴
  • クレーム履歴
  • 下取履歴

……などの過去の行動や接点の履歴です。

日々アップデートされます。

クラスターが変わる

顧客のハードな特性を使ったデータ分析への思い入れなのか、強烈な成功体験なのか、昔学んだことの記憶のせいかのか分かりませんが、たまに次にような方がいます。

データをアップデートしクラスター分析すると、クラスター分析結果が変化し困る

顧客のハードな特性を元にクラスター分析をしていれば、クラスター分析の元データである特性がそもそも大きく変化しないため、そうそう変わることはありません。

しかし、そこに顧客のソフトな特性を入れ込むと、クラスター分析するたびにクラスター分析結果が変わります

当たり前です。

変化させたいのに、変化させたくない???

顧客との関係性をより良くしたいと目論見、何かしらの施策を実施したのに、顧客行動が変化しなかったら失敗です。上手くいけば、顧客行動は大きく変化するはずです。

顧客行動が変化すれば、クラスター分析結果も当然ながら変化します

クラスター分析結果の変化を望まないということは、顧客行動が大きく変化することを望まないということです。

つまり、顧客との関係性をより良くしたいと目論んでいるのに、顧客行動が大きく変化することは望まない、という意味不明な状態に陥ります。

例えば…… 商品レコメンド

○○ユーザ○○クラスターなどのように、顧客を幾つかの塊にしデータ分析する時代が長すぎました。

これはこれで、現状把握思考整理施策立案などをする場合には役立つことでしょう。

ただ、顧客1人1人を相手にしたとき、どうでしょうか?

ある顧客が次に購入し易そうな商品を予測し、顧客にレコメンドする、などです。

例えば、○○ユーザ○○クラスターなどのように顧客を幾つかの塊にし、次に購入しそうな商品を予測し、その予測結果を使い商品をレコメンドしたらどうでしょうか?

似たような顧客(実はハードな特性が似ているだけ)であっても、よくよく見ると異なる(特にソフトな特性が異なる)ため、その予測はあまり当てになりません

であれば、顧客1人1人に対し、次に購入しそうな商品を予測し、その予測結果を使い商品をレコメンドした方がいいでしょう。

それを実現したのが、AmazonなどのECサイトの商品レコメンドです。

評価や企画時と、データ活用時で粒度を変える

○○ユーザ○○クラスターなどのように、顧客を幾つかの塊にしたデータ分析は、先ほども言いましたが、現状把握思考整理施策立案などをする場合には役立つことでしょう。

要するに、ビジネス活動のPDCAサイクルC(評価)P(企画)時です。

なぜでしょうか?

例えば、顧客が100万人いるとします。顧客1人1人に対する評価や企画などを人間が実施するとなると、非常に大変です。

○○ユーザ○○クラスターなどのように、顧客を幾つかの塊にし、C(評価)P(企画)などを実施した方がいいでしょう。

一方、ビジネス活動のPDCAサイクルD(実行)では、顧客1人1人に対した方がいいでしょう。

似たような顧客(実はハードな特性が似ているだけ)であっても、よくよく見ると違います(特にソフトな特性が異なる)。

要するに、顧客のハードな特性とソフトな特性を適切に識別し、上手く使いこなすことで、より良いデータ活用が実現できると思います。

今回のまとめ

今回は、「顧客のハードな特性とソフトな特性を使いこなしデータ活用」というお話しをしました。

15年以上前の顧客データ分析は、性別や年代、居住地などの顧客のハードな特性を活用したものが多い印象があります。

実際、マーケティングの世界で比較的よく利用される因子分析クラスター分析などは、顧客のハードな特性(性格・価値観・趣味嗜好・ライフスタイルなど)をもとにしたものが多い気がします。

ここ10年ぐらいの間に、日々変化する顧客のソフトな特性を組み込むケースが増えてきました。

例えば……

  • 来店記録
  • 閲覧履歴
  • 問合履歴
  • 相談履歴
  • 見積履歴
  • 購入履歴
  • クレーム履歴
  • 下取履歴

……などの過去の行動や接点の履歴です。

日々アップデートされます。

顧客のハードな特性顧客のソフトな特性が混在したデータを使ったデータ分析をするとき、注意が必要です。

例えば、クラスター分析結果がコロコロ変わってほしくないと思っているのに、クラスター分析をするときに日々変化するソフトな特性を混ぜると、クラスター分析をする度に結果がコロコロ変わります

例えば、○○ユーザ○○クラスターなどのように、顧客を幾つかの塊にし次に購入しそうな商品を予測をしても、似たような顧客(実はハードな特性が似ているだけ)であっても、よくよく見ると異なる(特にソフトな特性が異なる)ため、その予測はあまり当てになりません

要するに、顧客のハードな特性とソフトな特性を適切に識別し、データ分析をしましょう、ということです。