第261話|機械学習と相性のいい顧客のチャーン予測(離反予測)

第261話|機械学習と相性のいい顧客のチャーン予測(離反予測)

よくあるデータ活用のテーマの1つに、顧客のチャーン予測(離反予測)というものがあります。離反率をはじき出すことができます。

離反率は、顧客満足度の重要な指標です。離反率が低いということは、顧客が満足しているということです。

通常、新規顧客の獲得コストは、既存顧客の維持コストより大きくなります。最大で5倍とも言われています。そのため、離反率を下げることは、利益にとって大きなプラスの影響を与えます。

今回は、「機械学習と相性のいい顧客のチャーン予測(離反予測)」というお話しをします。

チャーン予測(離反予測)は重要

最近、サブスクリプション系サービスが流行っています。

このようなビジネスモデルの場合、チャーン予測(離反予測)をすることは、特に重要です。

チャーン予測(離反予測)をすることで、CLTV(顧客生涯価値)を見積もったり、事業の成長性を測ることができるからです。

また、チャーン予測(離反予測)から、適切なリテンション戦略(顧客維持戦略)につなげることができます。

先程も言いましたが、通常、新規顧客の獲得コストは、既存顧客の維持コストより大きくなります。より高収益なビジネスを目指す上で、非常に常用になってきます。

2つのチャーン

チャーンには2種類あります。

  • 顧客チャーン(例:月間離反顧客数÷月初顧客数)
  • 収益チャーン(例:月間減益MRR÷月初MRR)

顧客チャーンとは、顧客がサブスクリプションなどのサービスを解約したりすることです。

収益チャーンとは、例えば月初の月次経常収益MRR(Monthly Recurring Revenue)の損失のことです。顧客離反がなくても、顧客がダウングレード(下位のサービス・商品への変更)すると、収益チャーンが起こります。

イメージとしては、収益チャーンの方が、顧客チャーンよりも幅広い概念です。

4つのMRR変化

月次経常収益MRR(Monthly Recurring Revenue)の概念に不慣れな方もいると思いますので、補足説明します。

以下の4つのMRR変化があり、それぞれに対し名称がついています。

  • New MRR:新規顧客からもたらされるMRR
  • Expansion MRR:取引額の増えた既存顧客から得られるMRR
  • Downgrade MRR:取引額の減った既存顧客から得られるMRR
  • Churn MRR:離反顧客から得られたであろうMRR

さらに2つに分類できます。

  • 増益MRR:New MRR + Expansion MRR
  • 減益MRR:Downgrade MRR + Churn MRR

この比をQuick Ratioと言い、成長性を測る指標として用いることがあります。

  • Quick Ratio = 増加MRR ÷ 減少MRR

ちなみに基準として「1」と「4」が用いられます。1未満だとヤバいです。4以上だと素晴らしいとなります。

チャーン予測(離反予測)モデルの2つのシチュエーション

以上より、機械学習で作るチャーン予測(離反予測)モデルには、2つのシチュエーションがあります。

  • 完全なる離反(取引金額0)
  • ダウングレード(下位のサービス・商品への変更)

完全なる離反(取引金額0)の場合、「離反 or 継続」の2値分類問題になります。

ダウングレード(下位のサービス・商品への変更)の場合、「ダウングレード or 維持」の2値分類問題になります。ただ、ダウングレード対象のサービスが複数ある場合には、多値分類問題となります。

チャーン予測(離反予測)モデルを構築し活用するまでの流れ

チャーン予測(離反予測)モデルを構築して、ビジネスで活用したい! と思われた方も多いことでしょう。

通常の機械学習のモデル構築と同じです。

  1. テーマ設定:ビジネス上の問題と達成すべき目標を定義します。モニタリング可能な指標でBefore→Afterを定義します
  2. アナリティクス設計:構築したモデルと必要なデータを定義します。多くの場合、取引履歴やCRM(顧客関係管理)システムなどのデータです
  3. データセット生成:データを準備しEDA(探索的データ分析)を実施したり、必要な前処理を実施したりし、機械学習アルゴリズムに適したデータセットを作ります
  4. 予測モデルの学習とテスト:分類問題の様々な機械学習アルゴリズムを用いチャーン予測(離反予測)モデルを学習します。学習した予測モデルはテストします
  5. デプロイとモニタリング:学習した予測モデルをデプロイ(現場で活用できる状態にする)します。予測モデルを活用した結果をモニタリングし効果検証します

今回のまとめ

今回は、「機械学習と相性のいい顧客のチャーン予測(離反予測)」というお話しをしました。

よくあるデータ活用のテーマの1つに、顧客のチャーン予測(離反予測)というものがあります。離反率をはじき出すことができます。

離反率は、顧客満足度の重要な指標です。離反率が低いということは、顧客が満足しているということです。

通常、新規顧客の獲得コストは、既存顧客の維持コストより大きくなります。最大で5倍とも言われています。そのため、離反率を下げることは、利益にとって大きなプラスの影響を与えます。

最近流行りのサブスクリプション系サービスなどの場合、チャーン予測(離反予測)をすることは特に重要です。

なぜならば、チャーン予測(離反予測)をすることで、CLTV(顧客生涯価値)を見積もったり、事業の成長性を測ることができるからです。

ちなみに、チャーンには2種類あります。

  • 顧客チャーン(例:月間離反顧客数÷月初顧客数)
  • 収益チャーン(例:月間減益MRR÷月初MRR)

顧客チャーンとは、顧客がサブスクリプションなどのサービスを解約したりすることです。

収益チャーンとは、例えば月初の月次経常収益MRR(Monthly Recurring Revenue)の損失のことです。顧客離反がなくても、顧客がダウングレード(下位のサービス・商品への変更)すると、収益チャーンが起こります。

イメージとしては、収益チャーンの方が、顧客チャーンよりも幅広い概念です。

顧客のチャーン予測(離反予測)を実施するとき、意識してみてください。