データ分析の基本の1つが、「比較」です。
もちろん、分析の基本は「比較」だけではありませんし、「比較」だけが重要なわけでもありません。
実務で「比較」だけできればいいというわけでもありませんし、「比較」で十分なデータ分析・活用ができるわけではありません。
しかし、データ分析を活用するといったとき、「比較」という1つの考え方を実務で実践できるようになることで、「データ分析に立ちはだかる実践・活用の壁」を乗る超えるきっかけになり得ます。
あなたが「データ分析に立ちはだかる実践・活用の壁」にぶち当たっているのなら、先ずは「比較」というキーワードでデータ分析・活用にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
今回は、「『比較』というキーワードでデータ分析・活用にチャレンジしよう!」というお話しをします。
Contents
多くの人が何気なくやっている「比較」
ある小売店の例で考えていきます。
例えば、次のような状況はよくあります。
- 昨年の売上と比べ、今年の売上はどうだろうか?
- 今日の売上は、通常の売上と比べ悪いと言えるのだろうか?
- 先月のキャンペーンの影響はどうだろうか?
- 売上に効いている要因として、何が考えられるだろうか?
- 先日の土・日の売上が落ちた要因は、何であろうか?
- 何の対策も打たないままほったらかしにすると、来月どうなりそうか?
- A案とB案、どちらがいいだろうか?
これらの例は、「比較」というキーワードでデータ分析を進めることができます。
誰もがイメージが付きやすいという理由で、小売チェーンを例にしていますが、あなたの業務で置き換えられるものも、上記の例の中にはあるのではないでしょうか。
ここで、次の2つの例を説明します。
- 昨年の売上と比べ、今年の売上はどうだろうか?
- 今日の売上は、通常の売上と比べ悪いと言えるのだろうか?
この2つを使いこなすだけでも、データ分析の可能性は広がります。
昨年の売上と比べ、今年の売上はどうだろうか?
先ほど上げた例で一番イメージが付きやすいのが、「昨年の売上と比べ、今年の売上はどうだろうか?」でしょう。
小売店の売上でなくても、2つの集計した数字を比較することは、よくやるデータ分析の1つではないでしょうか。
「昨年の売上と比べ、今年の売上はどうだろうか?」の例ですと、日販(1日の売上)の平均値を年ごとに集計し、次のようにグラフ化し比べたりします。
このグラフは、昨年と今年の日販の平均値を計算し、縦棒グラフで表現したものです。
このようにグラフ化することで、昨年の日販よりも今年の日販が「高いのか、低いのか、同じくらいなのか」が目視で確認できます。
これだけでも、ある種のデータ分析ですが、折角なのでもう少突っ込んだデータ分析を考えます。
目視で「高い・低い・同じ」と判断するだけではなく、もう少し客観的に「高い・低い・同じ」と判断するのもいいでしょう。
そこで、統計学的な判断をデータ分析に組み込むのもいいでしょう。有意差検定です。
そうしないと、目視だけの判断になります。目視だけだと、人の感覚のみに依存してしまうことになります。
人の感覚に依存するとしても、基準となる何かがあったほうがいいでしょう。要は、統計学的な判断をデータ分析に組み込み参考情報にするといった感じです。
統計学的な判断は絶対ではありません。
最終的には、人知で判断を下すことになります。統計学的な判断は、単なる参考情報に過ぎません。
数理統計学的な厳密性にこだわりすぎると、身動きできなくなるので、ほどほどでいい気がします。
今日の売上は、通常の売上と比べ悪いと言えるのだろうか?
先ほどの例のような、「ある期間(例:今年1年間)」と「他の期間(例:昨年1年間)」の比較だけではなく、「ある期間(例:直近1年間)」と「ある1つのデータ(例:今日)」の比較をすることもあります。
例えば、「今日の売上は、通常の売上と比べ悪いと言えるのだろうか?」をデータ分析するケースです。グラフで表現すると次のようになります。
このグラフは、「直近1年間の日販の平均値」と「今日の日販」を比較したものです。
この「今日の売上は、通常の売上と比べ悪いと言えるのだろうか?」は、先ほど説明した2つの期間(例:直近1年間と今日)の比較とも見なすこともできますが、比較する期間の長さが極端に異なります。
つまり、「短い期間」が直近の過去(例:今日)で、「長い期間」は「短い期間より前の過去」(例:直近1年間)となっています。
この例の場合、「長い期間のデータ」を「通常」とし、その通常に比べ「短い期間のデータ」に異常がないかどうかを分析することになります。
グラフ表現も、縦棒グラフではなく、次のようなヒストグラフと呼ばれるデータの分布を表現したものでもいいでしょう。
振り返りと、日々のモニタリング
ここまで、次の2つの例を説明しました。
- 昨年の売上と比べ、今年の売上はどうだろうか?
- 今日の売上は、通常の売上と比べ悪いと言えるのだろうか?
「昨年の売上と比べ、今年の売上はどうだろうか?」というデータ分析は、日々実施するデータ分析というよりも、四半期や1年間を総括するときに実施することが多いでしょう。
「今日の売上は、通常の売上と比べ悪いと言えるのだろうか?」というデータ分析はリアルタイム性が高く、売上に異常がないかどうかを日々モニタリング(もしくは、週次モニタリング)するために実施することが多いでしょう。
「未来要素」を組み込む
比較と聞くと、過去同志の比較や今との比較がメインな気がしないでもないですが、未来の比較もあります。
「『今日』の売上は、通常の売上と比べ悪いと言えるのだろうか?」を……
- 『明日』の売上は、通常の売上と比べ悪くなりそうか?
- 『来月』の売上は、通常の売上と比べどうなりそうか?
……と「未来要素」を組み込んだ比較をすることもあります。
この場合、未来と過去の「比較」になります。
例えば、顧客の離反の可能性を示すチャーンスコア(離反スコア)の場合、顧客の離反する兆候であるチャーンスコア(離反スコア)をリアルタイムでモニタリングするデータ分析や、チャーンスコア(離反スコア)が変化しそうかどうかを予測するデータ分析(カスタマー・ヘルススコア分析など)をすることになります。
例えば、設備のセンサーデータの場合、故障の兆候をリアルタイムでモニタリングするデータ分析や、故障の兆候を予知する予知保全(プレディクティブメンテナンス)のためのデータ分析をすることになります。
このように、過去同志の比較だけでなく、今との比較や未来との比較などもあります。
ただ、未来の比較には、予測モデルを構築する必要があります。
今回のまとめ
今回は、「『比較』というキーワードでデータ分析・活用にチャレンジしよう!」というお話しをしました。
データ分析の基本の1つが、「比較」です。
もちろん、分析の基本は「比較」だけではありませんし、「比較」だけが重要なわけでもありません。
実務で「比較」だけできればいいというわけでもありませんし、「比較」で十分なデータ分析・活用ができるわけではありません。
しかし、データ分析を活用するといったとき、「比較」という1つの考え方を実務で実践できるようになることで、「データ分析に立ちはだかる実践・活用の壁」を乗る超えるきっかけになり得ます。
例えば、以下は「比較」というキーワードでデータ分析を進めることができます。
- 昨年の売上と比べ、今年の売上はどうだろうか?
- 今日の売上は、通常の売上と比べ悪いと言えるのだろうか?
- 先月のキャンペーンの影響はどうだろうか?
- 売上に効いている要因として、何が考えられるだろうか?
- 先日の土・日の売上が落ちた要因は、何であろうか?
- 何の対策も打たないままほったらかしにすると、来月どうなりそうか?
- A案とB案、どちらがいいだろうか?
比較と聞くと、過去同志の比較や今との比較がメインな気がしないでもないですが、未来の比較もあります。
ただ、未来の比較には、予測モデルを構築する必要があります。
あなたが「データ分析に立ちはだかる実践・活用の壁」にぶち当たっているのなら、先ずは「比較」というキーワードでデータ分析・活用にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。