ビッグデータやDX、AIなどの掛け声とともに、データ活用に取り組む機会も増えてきたのではないでしょうか。
しかし、データ活用のテーマには、筋の良いものと悪いものがあります。
知らず知らずのうちに筋の悪いテーマを選び、そのテーマに挑むと苦労も絶えません。
どうせなら、筋の良いテーマを選び取り組みたいものです。
今回は、「上手くいくかどうかはテーマ設定次第」というお話しをします。
Contents
2つの軸
ここでは、テーマの筋の良し悪しを次の2つの軸で考えていきます。
- 容易性
- インパクト
「容易性」とは?
「容易性」とは、どれだけ簡単に実現できるのか、ということです。
もう少し具体的に言うと、テーマとしてあげられたビジネス課題の解決が、データを使ってどれだけ容易に実現できるのか、ということです。
容易性の観点には、次の3つがあります。
- 取得に関する容易性
- 分析に関する容易性
- 活用に関する容易性
「インパクト」とは?
「インパクト」とは、データ活用したときに得られる「成果の大きさ」です。
可能であればすべて「金額(円)」で表現するようにしましょう。
テーマ設定の流れ
テーマ設定の流れは、次にようになります。
- Step 1:ビジネス課題の洗い出し
- Step 2:データ活用の候補の抽出
- Step 3:テーマ候補の評価と選定
Step 1:ビジネス課題の洗い出し
Step1の「ビジネス課題の洗い出し」のポイントは、「先ず、データの存在を忘れて、解決すべきビジネス課題を考える」というところです。
データ活用のテーマと聞くと、「データで出来ること」を軸にテーマを探し始める人も少なくありません。
「データで出来ること」を軸にテーマを探し始めると視野が狭くなり、場合によっては「データの可能性」を殺してしまうことがあります。
データの可能性を殺すとは、データで課題解決できたテーマを見つけられず、データで解決する機会を奪い去ることを意味します。
そのため、ビジネスの「お困りごと」である「ビジネス課題」を、データを活用するかどうかに関係なく洗い出します。データを使うという制約が外されることで、色々なビジネス課題(仕事の「お困りごと」)が洗い出されることでしょう。
Step 2:データ活用の候補の抽出
では次に、Step2の「データ活用のテーマ候補の抽出」です。
ビジネスの「お困りごと」である「ビジネス課題」の中から、どのようにして「データを使った方がよさそうなテーマ」を抽出するのでしょうか。
例えば、次のような逆算アプローチで探していきます。
肝となるのが「Step 2-3」です。
「Step 2-3」でデータ分析の内容だけでなく、そもそもデータ分析が必要かどうかの判断もします。
もし、データ分析が必要であれば、その課題は「データ活用したほうがよさそうなテーマ」となります。
そうでなければ、データ分析をしなくても解決できる課題、もしくはデータ分析の力を活用しても解決できない課題ということになります。
「Step 2-4」でどのようなデータが必要なのかを考え、「Step 2-5」でそのようなデータが存在するのかを検討していきます。
したがって、「Step 2-3」で「データ活用したほうがよさそうなテーマ」とされても、「Step 2-5」でデータが手元にないことが分かり、「データ分析できない」となることがあります。
もちろん、データが手元になくてもすぐに入手可能であるならば、その限りではありません。この場合、テーマ候補から外れます。
これで、データ活用のテーマ候補が抽出されます。
Step 3:テーマ候補の評価と選定
テーマ候補が出そろったら、次にテーマ候補を先ほど説明した次の2つの軸で評価します。Step3の「テーマ候補と評価と選定」です。
- 容易性
- インパクト
テーマを選定するとき、「容易性×インパクト」の掛け算で考えていきます。
このとき「筋の良いテーマ」とは、「簡単でインパクトが大きい」テーマです。複数のテーマ候補があるのなら、簡単でインパクトが大きい「筋の良いテーマ」を選びましょう、となります。
しかし、「簡単でインパクトが大きいテーマ」が、いつもあるわけではありません。多くのデータ活用のテーマ候補は、「インパクトが大きいが難しいテーマ」(腰を据えて挑むテーマ)もしくは「簡単だけどインパクトの小さなテーマ」(積小為大なテーマ)になります。
データ活用の経験値が少なく、まだデータ活用の成果があまり出ていないのなら、「簡単だけどインパクトの小さなテーマ」(積小為大なテーマ)を優先すべきです。
理由は、「簡単だけどインパクトの小さなテーマ」の場合、簡単に成果が出るため、成功体験をどんどん積めて、関わった人のデータ活用の能力を高めるからです。
インパクトの小さなテーマであっても、その成果はりっぱな成果です。
「インパクトが大きいが難しいテーマ」(腰を据えて挑むテーマ)には年月が必要で、労の大きさを考えると、パフォーマンス効率は良いとは言えません。
実現すれば「おぉー」という感嘆の声が聞こえるかもしれませんが、非常に大きな忍耐力が必要となります。
ですので、会社の生死を左右するとか、部署や製品にとって避けて通れないとか、挑むことが宿命付けられているとかでなければ、「簡単でインパクトが大きいテーマ」(腰を据えて挑むテーマ)を選び、ガンガン成果を生み出し続けたほうがいいでしょう。
「ちりも積もれば山のとなる」ということで、「簡単だけどインパクトの小さなテーマ」(積小為大なテーマ)に挑み小さなビジネス成果を積み上げることで、それなりの大きなビジネス成果へとなります。まさに、二宮尊徳の「積小為大」(小を積んで大を致す)です。
今回のまとめ
今回は、「上手くいくかどうかはテーマ設定次第」というお話しをしました。
ビッグデータやDX、AIなどの掛け声とともに、データ活用に取り組む機会も増えてきたのではないでしょうか。
しかし、データ活用のテーマには、筋の良いものと悪いものがあります。
知らず知らずのうちに筋の悪いテーマを選び、そのテーマに挑むと苦労も絶えません。
どうせなら、筋の良いテーマを選び取り組みたいものです。
テーマの筋の良し悪しを次の2つの軸で考えていきます。
- 容易性
- インパクト
「容易性」とは、どれだけ簡単に実現できるのか、ということです。「インパクト」とは、データ活用したときに得られる「成果の大きさ」です。
「筋の良いテーマ」とは、「簡単でインパクトが大きい」テーマです。
「簡単でインパクトが大きいテーマ」が、いつもあるわけではありません。多くのデータ活用のテーマ候補は、「インパクトが大きいが難しいテーマ」(腰を据えて挑むテーマ)もしくは「簡単だけどインパクトの小さなテーマ」(積小為大なテーマ)になります。
データ活用の経験値が少なく、まだデータ活用の成果があまり出ていないのなら、「簡単だけどインパクトの小さなテーマ」(積小為大なテーマ)を優先すべきです。
「ちりも積もれば山のとなる」ということで、「簡単だけどインパクトの小さなテーマ」(積小為大なテーマ)に挑み小さなビジネス成果を積み上げることで、それなりの大きなビジネス成果へとなります。