ビジネスの現場で時系列データを使った、最近よく目にする幾つかの活用事例があります。
次の7つです。
- 基本となる3活用事例
- モニタリング指標の将来予測
- モニタリング指標の異常検知とその要因探索
- モニタリング指標の先行指標探索とその活用
- セールスアナリティクスの3活用事例
- リードの選別(受注確率や金額、LTVの予測など)
- チャーンレートの改善(既存顧客の離反予測など)
- 出世魚マネジメント(LTV予測やお勧め商材レコメンドなど)
- 広告・販促の効果測定と最適化(MMM:マーケティングミックスモデル)
今回は、「ビジネス時系列データでよくある7つの活用事例」についてお話しします。
Contents
基本となる3活用事例
「モニタリング指標」とは、売上金額や受注件数、コンバージョン数などのビジネス上「着目している指標」です。
「目的変数」などと言われることもあります。
この「モニタリング指標」に対し、例えば次の3つの活用事例をよく目にします。
- モニタリング指標の将来予測
- モニタリング指標の異常検知とその要因探索
- モニタリング指標の先行指標探索とその活用
モニタリング指標の将来予測
1つ目の「モニタリング指標の将来予測」とは、需要予測や受注予測、故障予測など「〇〇予測」と言ったものです。
この「将来予測」をするために、予測モデルを構築し活用します。
予測対象期間は、遠い未来(5年後や10年後、100年後など)ではなく近い未来(数日後、数週間後、数カ月後、1年後など)のケースが多いです。
モニタリング指標の異常検知とその要因探索
2つ目の「モニタリング指標の異常検知とその要因探索」は、「異常検知」と「要因探索」の2つのアナリティクスに分かれます。
順番があります。
先ずモニタリング指標の「異常検知」を実施し、異常が検知されたらその要因を探るために「要因探索」を実施します。
時系列データの「要因探索」では、異常を示したモニタリング指標と連動している、変数を探索し、異常の要因を探っていきます。
このモニタリング指標と連動している変数には、モニタリング指標と一緒に連動している「一致系列」、モニタリング指標より遅れて動く「遅行系列」、そしてモニタリング指標より先に動く「先行系列」の3種類があります。
モニタリング指標の変化の要因候補として考えられるのは、一致系列と先行系列です。
今、「異常検知」と「要因探索」という2つのアナリティクスの説明をしましたが、必ずこの2つのアナリティクスを実施しなければならない、というわけではありません。
例えば、「異常検知」はデータを使い実施するが、「要因探索」はデータを使わずに実施する、ということが多々あります。
データを使わずに「要因探索」を実施する場合、ブレーンストーミングやロジカルシンキング、インタビューなどの定性的なアプローチで要因を探っていきます。
モニタリング指標の先行指標探索とその活用
3つ目の「モニタリング指標の先行指標探索とその活用」では、今説明した「要因探索」と同じやり方で、先行系列を探索していきます
先行系列が分かれば、それは「モニタリング指標」の変化の予兆を知るのに利用できるため、その先行系列を「先行指標」という名の新たなモニタリング指標とするケースがあります。
さらに、この先行系列を予測モデルに組み込むことで、「モニタリング指標」の将来予測の精度を高めることもできます。
セールスアナリティクスの3活用事例
個々の顧客の動きをデータで捉えられるビジネス(例:法人相手のビジネスや、顧客と売上が紐づいたID付きPOSデータを取得できる一般消費者向けビジネス、など)をしているとき、例えば、次のようなセールスアナリティクスの3テーマに直面します。
- テーマ1「新規顧客の獲得」:リード(見込み顧客)の獲得・育成・顧客化(受注)を目指す
- テーマ2「既存顧客の離反阻止」:既存顧客に対し継続受注や他商材の新規受注などで取引継続を目指す
- テーマ3「既存顧客の取引額拡大」:既存顧客に対し他商材の新規受注や他部署展開などで取引額の拡大を目指す
この3つのテーマに取り組むのが、次の3つの活用事例です。
- リードの選別(受注確率や金額、LTVの予測など)※テーマ1
- チャーンレートの改善(既存顧客の離反予測など)※テーマ2
- 出世魚マネジメント(LTV予測やお勧め商材レコメンドなど)※テーマ3
この3つの活用事例に共通するのが、現場に提供するアウトプットの1つとして、「リードのアタックリスト」「注力顧客(出世魚)リスト」「おすすめ商材リスト」などと呼ばれる「リスト」(帳票など)が含まれるケースが多いです。
広告・販促の効果測定と最適化
売上や問い合わせ、受注、購入などを促すため、広告・販促を実施することがあります。
そのとき、広告・販促の効果測定と最適化を実現する数理モデルの1つがMMM(マーケティングミックスモデル、もしくはメディアミックスモデル)です。
実施した広告・販促の振り返りで利用したり、今後どの媒体にいくら予算配分するのかなどプランニングで利用したりします。
具体的には、時系列の売上データと、時系列の広告・販促関連のデータを利用し、広告・販促の各媒体の売上貢献度やmROI(Marketing Return On Investment)などを算出したり、mROIを最大化する予算の最適配分を割り出したりします。
MMMは、そのまま予測モデルとしても利用できます。
予算の最適化問題を解くために、数理計画法(特に、非線形計画法)というアナリティクス技術が求められます。
今回のまとめ
今回は、「ビジネス時系列データでよくある7つの活用事例」についてお話ししました。
ビジネスの現場で時系列データを使った、最近よく目にする幾つかの活用事例があります。
次の7つです。
- 基本となる3活用事例
- モニタリング指標の将来予測
- モニタリング指標の異常検知とその要因探索
- モニタリング指標の先行指標探索とその活用
- セールスアナリティクスの3活用事例
- リードの選別(受注確率や金額、LTVの予測など)
- チャーンレートの改善(既存顧客の離反予測など)
- 出世魚マネジメント(LTV予測やお勧め商材レコメンドなど)
- 広告・販促の効果測定と最適化(MMM:マーケティングミックスモデル)
基本となるのは、時系列データの分析技術である異常検知・要因探索・将来予測をストレートに活用した、モニタリング指標の「将来予測」や「異常検知とその要因探索」、「先行指標探索とその活用」と言ったものです。
個々の顧客の動きをデータで捉えられるビジネスをしている場合には、「リードの選別」や「チャーンレートの改善」、「出世魚マネジメント」のための、セールスアナリティクスの3活用です。
他には、広告・販促の効果測定と最適化を目指した、MMM(マーケティングミックスモデル)です。
時系列データをビジネスサイドで利用するときに参考にして頂ければ幸いです。